以下は、asahi.com(2012年1月13日)からの引用です。
「携帯電話会社がパケット通信の高額利用者に注意を促す義務があるかが争われた訴訟の判決が12日、京都地裁であった。
佐藤明裁判長は、被告のソフトバンクモバイルに義務があったと認定。
20万円の返還を求めた大阪市の女性(32)に10万7千円を支払うよう命じた。
携帯電話の利用者がインターネットのサイトの閲覧に夢中になり、パケット通信料が高額になってしまうケースがあり、女性の代理人の長野浩三弁護士は「高額利用者に注意を促す義務が会社側にあると明確に認めており、画期的だ」と評価している。
判決などによると、女性は2007年9月、携帯電話をパソコンにつないだパケット通信はほとんど使わないと考えて「1パケット0.2円」で同社と契約した。翌08年3月、京都市に引っ越した際に携帯電話しか使えなかったため、パソコンに接続してインターネットを利用。
1週間で約20万円の通信料が発生した。 」
最近は、このようなパケ死を救済するために、遡ってプラン変更ができるようになったりしているようですが、2007年当時は、そのような救済制度がなかったのでしょうね。
幾つかのニュースを見ても、法的根拠が明確にされておらず、消費者契約法に基づくかのような報道もありましたが、消費者契約法には、法的根拠となるような条文が見当たりませんので、上記に引用した注意義務違反、すなわち民法90条の信義則上の注意義務違反を理由とするのではないかと思われます。
代理人の弁護士が述べるとおり、画期的な判決だと思いますし、裁判官も、随分思い切った判決を書いたものだと思います。
恐らく、裁判官は、「このようなパケ死が多発して社会問題となり、その後は救済制度を用意するようになったんだし、莫大な利益を上げている大企業なんだから、これくらい救済してあげなさいよ。」という気持ちで判決を書いたのだと思います。
また、一方で、「ソフトバンクモバイルだって、企業イメージを考えたら、この判決に控訴するのは得策ではないということになるんじゃないのかな。」という読みもあったと思います。
しかし、大企業ほど、メンツにこだわる傾向が強いような気もします。
さて、ソフトバンクモバイルは、どう出るでしょうか。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ