以下は、asahi.com(2012年1月4日)からの引用です。
「殺人や強盗といった重大事件が対象になっている少年審判の「国選付添人制度」について、法務省は現在の対象を広げる方向で検討を始めた。
少年が審判を受ける際にできるだけ弁護士が付くようにし、立ち直りにつなげるのが狙い。
早ければ2012年度中にも国会に少年法改正案を提出する。
刑事裁判で成人の被告に弁護士が必ず付くのとは異なり、非行や犯罪によって家庭裁判所で審判を受ける20歳未満の少年の場合は、弁護士などが付添人として付く仕組み。
このうち、重大事件などで家裁が認めた場合に限り、国が費用を出して弁護士を付けられる国選付添人制度がある。
最高裁などによると、10年中に身柄を拘束された少年1万639人のうち弁護士の付添人が付いたのは6589人で6割にとどまる。
この大半は私費によるもので、国選の数は342人と約5%に過ぎない。
私費で付けるケースは年々増えているものの、その多くは日本弁護士連合会が全国の弁護士から集めた資金で援助しているのが実態だ。 」
成人の場合、被疑者(刑事裁判になる以前)の段階でも、窃盗・傷害などの罪ですら、国選弁護人を選任できることとなっており、刑事裁判に至れば、必ず弁護人が選任されることになっています。
少年の場合、被疑者段階では、成人と同様に国選弁護人を選任できるのですが、審判(成人の場合の刑事裁判のようなもの)の段階になると、重大事件などで家庭裁判所が認めた場合に限り、国選付添人を選任できるに過ぎないのです。
少年の場合、未成熟なため、成人以上に無実の罪を認めてしまう可能性が高いだけでなく、実際に罪を犯していたとしても、成人以上に立ち直りの可能性も高いのに、それではおかしいということで、日弁連や各地の弁護士会が、弁護士会費などから援助することにより、少年事件の審判段階でも、無料で付添人が付けられるように、努力している訳です。
ですので、国選付添人制度が拡充されることは素晴らしいことですが、我々弁護士も、赤の他人である付添人が、少年のために何ができるのか、何をすべきなのか、今一度見つめ直す必要があるように思います。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ