以下は、YOMIURI ONLINE(2011年12月27日)からの引用です。
「金融庁は27日、法律の期限が2012年3月末に迫る「中小企業金融円滑化法」を1年間、再延長すると発表した。
同法は金融機関に対し、中小企業向けの貸し付け条件変更などに柔軟に応じるよう促している。
再延長は東日本大震災や円高など中小企業の資金繰り環境が厳しいことに配慮する。
政府は来年の通常国会に同法改正案を提出する。
同法は景気低迷で業績が悪化した中小企業対策として09年12月に施行され、11年3月末の期限を既に1年延長している。
同法に基づく中小企業向け融資の条件変更の申し込みは9月末までに245万件に上り、225万件が変更を受けた。
一方、金融機関側からは「条件変更を何度も繰り返す企業があるなど借り手のモラルハザード(倫理の欠如)につながる」との弊害も指摘されており、政府は今回の再延長を最後に、制度を13年3月末で打ち切る方針だ。」
帝国データバンクの第2回「中小企業金融円滑化法」利用後倒産の動向調査によると↓、同法を利用して借入金の返済猶予を受けながら、後に倒産した企業が2011年10月は22件を数え、9月(19件)を抜いて過去最多となり、2011年1〜10月の合計は142件に達し、10月末時点で2010年1年間(23件)の約6倍に急増しているとのことです。
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p111102.pd
同法に基づく条件変更は実に225 万件にものぼるとのことですから、確かに、震災や円高で先行きが不透明な現状で打ち切ることになれば、倒産件数が爆発的に増えそうですし、そうなれば、金融機関の膨大な隠れ不良債権が顕在化することにもなりそうですし、不景気感が更に加速することになりますので、延長するのが得策だとは思います。
しかしながら、延長は今回が最後とのことですので、再来年の3月末の打ち切りまでの間に、条件変更を受けた各企業や条件変更に応じた金融機関は勿論、日本、そして世界各国も、抜本的な解決策を見出さなければ。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ