以下は、スポーツ報知(2011年12月10日)からの引用です。
「北海道土産の菓子「白い恋人」を製造・販売する石屋製菓(札幌市)から、商標権を侵害しているとして販売差し止めなどを求められた大阪土産の菓子「面白い恋人」が、売り上げを急増させていることが9日、分かった。
大阪・新世界の観光名所・通天閣ではこの日、5日ぶりに50箱を入荷した。
担当者は「メーカーの製造が追いつかず、なかなか入荷できない。入ってもすぐに完売する」。
提訴前は1日平均10個程度だった販売が、1日300個に伸びた日もあったという。
「面白い―」の販売元・吉本興業が直営する大阪市内の2店舗でも、入荷と同時に売り切れる状態だ。
思わぬ人気沸騰ぶりに吉本側は「複雑です」としているが、その後、石屋製菓との和解交渉は進展していない。
一方、石屋製菓の代理人は売り上げ増を耳にすると「こちらが評価することじゃない」としたが、ますます面白くない様子。
「売れれば売れるほど、問題となるのは当然。今度は損害賠償請求を検討することになる」と追加訴訟に発展する可能性を明言した。」
吉本興業側には、思わぬ副次的効果があったようですが、石屋製菓側にとっては、どうなんでしょうか。
商標権法38条2項は、「商標権者又は専用使用権者が故意又は過失により自己の商標権又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、商標権者又は専用使用権者が受けた損害の額と推定する。」と定めており、不正競争防止法にも同様の定めがあります。
今回の売り上げ急増は、石屋製菓による提訴とマスコミ報道による効果だと思いますが、それでも損害と推定されるのでしょうか。
個人的には、「白い恋人」そのもの、あるいは姉妹商品だと勘違いして、「面白い恋人」を買ってしまうことはないと思いますが、それは、私が札幌に住んでいるので、「白い恋人」の実物やCMを目にする機会が多いですし、石屋製菓が作っていることもわかっているからでしょうか。
だとすると、札幌地裁ではなく、東京地裁に提訴した方が…。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ