以下は、YOMIURI ONLINE(2011年11月22日)からの引用です。
「福岡県弁護士会は22日、同会所属で福岡市の稲尾吉茂弁護士(46)が、依頼者約30人から負債整理などで預かった計約2500万円を着服した疑いがあると発表した。
同会の調査に対し、稲尾弁護士は「金は事務所経費や生活費に充てた。返還は困難」と説明。
同会は懲戒処分を検討している。
今のところ告訴や告発は行われていないが、19日に福岡地検に自ら出頭し、取り調べを受けたという。
同会によると、稲尾弁護士は1998年4月に登録し、同市中央区舞鶴3に個人で事務所を開いていた。
2007〜09年に担当した約30件の任意整理や破産申し立てで、依頼者から預かった解決金を債権者に払わなかったり、予納金を裁判所に納めなかったりした。
消費者金融から回収した利息制限法の上限を超える金利分(過払い金)も返還していなかった。
ほかにも着服の疑いがあるという。
解決金支払いが滞ったことで、消費者金融から民事訴訟を起こされた依頼者もいる。
滞っていた期間の利息は今後、依頼者に請求がくる可能性もある。
同会は被害者から苦情を受け、今年8月頃から調査を開始。
専用窓口(ジャスト法律事務所、電話092・771・5024)を設けて相談に応じている。
同会所属の弁護士を巡っては、相続財産管理人として管理していた遺産1945万円を着服したとして北九州市の弁護士が業務上横領罪で起訴され、10月に懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受け、資格を失った。」
またか…。
ベテラン弁護士の不祥事が多いことを捉えて、「若手の質は落ちていない」と主張する弁護士増員論者もいるであろうが、弁護士になったばかりでは、一生を棒に振る程の預り金がある訳もない。
預り金に手を付ければ業務上横領、犯罪者となり、弁護士資格も失い、マスコミにも報道されて、一家離散となることは百も承知で、それでもなお手を付けてしまう弁護士の心境は想像を絶するものがある。
ベテランの弁護士ですら、近年の弁護士急増に対応できないということ。
自由競争・自然淘汰を唱え、弁護士を大増員すれば、自然淘汰の結果として、このような被害が広がるのも当然のことと思われ、しかも、一生に一度あるかないかの事件を依頼した依頼者にとっての被害は甚大で、事後的救済など到底不可能である。
誰にとっての司法改革、誰にとっての弁護士増員なのであろうか。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ