以下は、毎日jp(2011年11月8日22時54分)からの引用です。
「「和牛オーナー」制度で出資会員を集めていた「安愚楽(あぐら)牧場」(栃木県那須塩原市)の経営が破綻した問題で、東京地裁(鹿子木康裁判長)は8日、進行中だった民事再生手続きの廃止を決定し、破産法に基づく保全管理命令を出した。
同日付で保全管理人に選任された渡辺顕弁護士が明らかにした。
今後1カ月間に異議申し立てがなければ、破産手続きに移行する。
9月に始まった民事再生手続きでは、地裁が今月4日、財産管理の権限を経営陣から再生管財人に移す管理命令を出した。
しかし、管財人に選任された渡辺弁護士が同牧場の資産状況を調べた結果、資金繰りが逼迫(ひっぱく)し、早ければ今月中にも運転資金がショートする状態であることが判明。
再生計画の立案は極めて困難と判断し、再生手続きの廃止を求める上申書を提出した。
牧場側も了承しているという。
資金繰りを圧迫している最大のネックは、約13万頭の牛にかかる月約20億円のエサ代。
牧場側は牛の売却を進めて現金収入を確保するとともにエサ代を削減していく意向だが、7万人を超える和牛オーナーの同意を一つ一つ得るのは非常に難しい。
渡辺弁護士は「債権者の同意が逐一求められる民事再生手続きでは手間とコストがかかり過ぎ、迅速な破産手続きが妥当と判断した」と述べた。
一方、オーナー側の被害対策弁護団の調査によると、オーナーへの配当に充てる引当預金は約20億円にとどまっており、配当率は被害額の1%未満になる見通しという。
弁護団は「今後、牧場側への損害賠償請求なども検討する」と話した。」
当職は直接かかわっていないが、道内にも約130の預託先牧場があるとのことであり、全国弁護団も結成されている↓
http://agurahigai.a.la9.jp/
民事再生手続開始後のエサ代は、共益債権といい、オーナーの出資金等、手続開始前に発生した再生債権に先立って、随時、弁済することとなっている。
そうでなけば、エサの供給が滞り、事業を継続することができくなり、民事再生手続が頓挫するからであるが、そもそも事業継続の可能性はなかった訳だ。
破産手続に移行後は、預託先牧場等に飼育中の牛を売却することになろうが、直ぐには商品とならず、エサ代もかかるいわば原材料、しかも放置して餓死してしまえば価値はゼロどころか、処分費用もかかるのであるから、捨て値で売却せざるを得ないであろう。
弁護団が、関連会社や役員の責任追及も視野に入れるのも当然である。
民事再生の申立をしたものの、途中で頓挫する企業は4社に1社ほど。
無理スジな民事再生を選択する理由は様々であろうが、先日の「U.F.O.」の場合は、全貌を明らかにしたくなかっためだった模様↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/231857346.html
今回は何が出てくるのであろうか。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ