「東日本大震災で漏水した東京都杉並区のマンションを巡り、損害保険契約の「地震による損害は補償しない」との免責条項の有効性が争われた訴訟の判決で、東京地裁は21日までに「震度5強程度の揺れは免責対象に当たらない」として、保険金の支払いを命じた。
地震保険以外の損保商品では、地震被害は補償対象外なのが一般的。
約款に免責が明記されているケースで支払いを命じるのは異例だ。
小林久起裁判官は判決理由で、地震多発国の日本では「一定の耐震性は通常備えているべきだと認識されている」と指摘。
そのうえで、免責対象となるのは「通常の想定を超えて保険金支払いが困難になるような巨大かつ異常な地震」だとして、マンション付近で記録した最大震度5強の揺れは「対象の巨大地震には当たらない」と結論付けた。
判決は20日付。
訴訟は震災発生直後に上階の配水管に亀裂が入って漏水被害を受けた部屋の持ち主らが、保険会社などに保険金支払いを求めて提訴。
保険会社側は「地震による損害は補償対象外」として支払いを拒んでいた。
被告の東京海上日動火災保険の話 判決文が届いていないのでコメントできない。」
保険業界では、地震保険に別途加入していない限り、どのような規模の地震であっても、当然に、地震による損害は全て免責されるとの前提で、業務が行われていると思われる。
しかも、上記判決は、今回の東日本大震災に関するものであり、判決が保険金の支払いを命じた震度5強以下の地域は、極めて広範囲に及んでおり、地震による被害も、決して少なくない筈。
保険業界にとっては、まさに激震の判決であり、控訴は必至であろう。
北海道でも、平成5年に起きた北海道南西沖地震(推定震度6)後の火災で自宅などが焼失した奥尻島の住民らが裁判を起こしたが、1審・控訴審共に敗訴している。
東日本大震災の最大震度は7。
免責対象となるか否かの線引きは難しそうだが、だからと言って、全て免責の結論の方が楽→控訴審で逆転判決→理由は免責条項にそう書いてあるから、という安易な発想に陥ることなく、一定の規範を示して欲しいものだ。
地震査定基準に個別個別の震度を記載するのか、しません。本判決理由の反対解釈、すなわち震度5弱は地震ではないので支払いできませんと被災された方々に言えますでしょうか。この答えも自明です。