とは言え、弁護士として、当事者としての争い方や裁判官の考え方を押さえておく必要は当然あるので、判例タイムズと判例時報という2つの判例雑誌を継続購入し、毎回、できるだけ目を通していますが、今回届いた判例時報2119号の95頁に、ちょっと異色の判例が掲載されていました。
指示したデザイン通りの髪型にならなかったことを理由とする顧客の美容師に対する損害賠償請求が否定され、執拗な苦情や高額の金員要求をほのめかした顧客に対する損害賠償請求が認められた(7万円ですが)というものです。
認定された事実によれば、デザイン通りの髪型にならなかったのは、顧客が途中でデザインの変更を指示したからということなので、それを前提とすると、結論は至極妥当だと思いますが、わざわざこの判例を掲載した意図がわからない。
裁判となり1審の簡裁で和解が成立せず判決となったものの控訴され、2審の地裁でも和解が成立せず判決となり、ようやくこの地裁判決が確定して解決したそうです。
色々事情はあるのでしょうが、そこまで行きつかなければ解決しないものかとも思う。
これが司法改革論者の言う事後的救済社会なんでしょうか。
札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ