以下は、日本経済新聞(2024年8月28日)からの引用です。
「恋愛感情を抱かせ金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」の被害救済をうたい、広告会社に名義を貸して法律事務をさせたとして弁護士法違反罪(非弁提携)で起訴された大阪弁護士会所属の弁護士、川口正輝被告(38)について、大阪地裁が28日までに保全命令を出した。
破産手続きを申し立てた同弁護士会が明らかにした。
27日付。
今回の保全命令は特定の被害者らへの弁済を禁じる内容で、大阪弁護士会が申し立てていた。
今後、破産手続き開始決定が確定すると、同被告は弁護士法に基づき弁護士資格を失う。
起訴状によると、川口被告は2022年12月〜23年7月ごろ、弁護士資格のない広告会社の代表らに自身の名義を貸し、ロマンス詐欺などの被害者17人からの法律相談や事務を担わせたなどとされる。
弁護士会によると、川口被告は「返金の可能性は必ずあります」とする広告をインターネット上に掲載。2022年8月以降で少なくとも1800人の依頼者から9億円以上の着手金を受領し、被害金を回収できたのは10人程度だったという。」
この事件の続報ですね↓
大阪弁護士会のお知らせは↓
大阪弁護士会が申し立てたということですが、破産申立ができるのは債権者又は債務者ですから(破産法18条1項)、弁護士会費の滞納があったということなのでしょうね。
債権者が破産手続開始の申立てをするときは、その有する債権の存在及び破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならないことになっていますが(同条2項)、依頼者らとの委任契約は、弁護士法違反で公序良俗に反し無効(民法90条)、あるいは被害回復が現実には難しいにもかかわらずあたかも高額の回収が実現できる可能性が高いかのように誤信させたものなので詐欺による取消の対象となる(同法96条1項)、よって着手金を返還する義務があるけれども、着手金の大半は広告業者らに流出しており、返還不能ということですかね。
この方も弁護士法違反で逮捕・起訴されてますから、刑事事件の結果を待って破産決定というところでしょうかね↓
配当できるかどうかは、広告業者らから回収できるかどうかによるような気がしますが、さてどうなるのでしょうか。