2022年02月24日

佐川氏への請求額3倍に 森友文書改ざんで赤木さん妻―大阪地裁


以下は、時事ドットコムニュース(2022年02月09日)からの引用です。

「学校法人森友学園をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、自殺した同省近畿財務局職員赤木俊夫さん=当時(54)=の妻雅子さん(50)が、同省理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が9日、大阪地裁(中尾彰裁判長)であった。

原告側が請求額について、550万円から1650万円への増額を申し立て、認められた。

雅子さんは国も訴えていたが、国側が昨年12月に原告の請求を認める「認諾」を行い、訴訟は終結した。

原告側は佐川氏への請求額を増やすことで、国に続いて認諾するのを防ぐとしている。

この日は国が認諾してから初の弁論で、佐川氏側は改めて請求棄却を求めた。」





この事件の続報ですね↓

上記のブログ記事でも引用しましたが、最高裁判所昭和30年4月19日判決は、「公権力の行使に当る公務員の職務行為に基く損害については、国または公共団体が賠償の責に任じ、職務の執行に当った公務員は、行政機関としての地位においても、個人としても、被害者に対しその責任を負担するものではない。」と判示しています↓

ですので、佐川氏側が、請求の認諾によって、訴訟を終結させようとしなくても、残念ながら、証人尋問等の実質的な審理は、行われないのではないでしょうか。

改ざんの指示は、職務行為ではない、という訳にも行かないと思いますし。

さて、どうなるのでしょうか。

posted by 森越 壮史郎 at 13:27| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年02月10日

離婚後300日以内でも「再婚夫の子」に 法制審部会、改正案了承


以下は、毎日新聞(2022/2/1)からの引用です。
「法制審議会(法相の諮問機関)の部会は1日、子の父親を決める民法の「嫡出推定」の規定に、離婚後300日以内に生まれた子も、女性が再婚していれば再婚相手の子と推定するルールを加える改正要綱案を了承した。

離婚後に生まれた子の出生届を女性が出さず、子が「無戸籍者」になる問題の解消を図る。

近く法制審の総会で法相に答申され、政府は早期の国会提出を目指す。

民法は、婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定するとし、「婚姻から200日後」「離婚から300日以内」に生まれた子は婚姻中に妊娠したと推定すると定める。

女性が婚姻中に別の男性との子を妊娠すると、離婚から300日以内に生まれれば前夫の子と推定される。

このため、夫の暴力から逃れて別居中に別の男性との間に子が生まれた場合などに、女性が出生届の提出をためらい、子が無戸籍となる要因になっていた。

法務省が1月現在で把握している無戸籍者825人のうち、591人が嫡出推定を理由とするものだった。

要綱案は、妊娠から出産までに複数の婚姻をしている場合は「出生直近の婚姻の夫の子と推定する」とした。

これにより、離婚後300日以内に生まれた子も、再婚していれば再婚相手の子と推定される。

現在は、女性が仮に離婚直後に再婚すると、100日間、現夫と前夫の父親の推定が重なる。

このため女性のみに100日間の再婚禁止期間が設けられているが、改正で推定の重複が解消されるため廃止する。

「女性が婚姻前に妊娠し、婚姻成立後に生まれた子は夫の子と推定する」との規定も設ける。

妊娠が分かった後に結婚したような場合も夫の子と推定される。

現在は結婚200日以内に生まれた子は推定されないため、届け出で「嫡出子」(法律婚の夫婦の子)としていたが、制度で明確化する。

父子関係の推定を覆す「嫡出否認」の訴えも、夫(前夫)だけが子の出生を知ってから1年以内に起こせる決まりを見直し、子や母も起こせることにする。

親権者が子を懲らしめることを認める「懲戒権」は、虐待の口実に使われることがあるとの指摘を踏まえて削除する。

子の人格を尊重した親権行使を求める規定を設ける。」





法律改正に反対するつもりは全くありませんが、無戸籍者が生まれる主なケースは、夫の暴力から逃れて別居中だけれども、離婚が成立する前に、別の男性との間に子供が生まれるケースだと思うので、嫡出推定規定の改正が、どれだけ問題の解消に結び付くかは、何とも言えないような気がします。

子や母も嫡出否認の訴えを起こせるというのも、一歩前進ではあるのでしょうが、そもそも、出生届を出すのをためらうのは、出生届を出すと、夫との戸籍に、自分以外の男性との間に子供が生まれたことが記載されてしまい、夫に知れてしまうことを恐れてのことだと思うので、同じく何とも言えないような気がします。

posted by 森越 壮史郎 at 18:35| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年02月02日

公文書改ざんの遺族賠償、佐川氏に負担求めず 財務相が答弁


以下は、朝日新聞デジタル(2022年1月25日)からの引用です。

「学校法人森友学園(大阪市)の国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強いられ自死した同省近畿財務局職員の遺族との訴訟で国が「認諾」して遺族に支払う約1億700万円の賠償金について、鈴木俊一財務相は25日の衆院予算委員会で、佐川宣寿(のぶひさ)・元同省理財局長に負担を求めない考えを示した。

国家賠償法で国が職員に負担を求める場合の「故意または重大な過失」にあたらないことを理由にあげた。

鈴木氏は、国が支払った賠償金の負担を職員に求めるのは、国家賠償法で職員に故意または重大な過失があったときと規定されていることを説明。

自死した赤木俊夫さん(当時54)については、「大変厳しい状況に追い込まれてしまった時、当時業務負担の軽減など様々な対応がされていた」ことをあげ、「国が個々の職員に対して求償権を有するものとは考えていない」と説明した。

佐川氏に負担を求めるべきだとする立憲民主党の階猛氏の質問に答えた。

階氏は「故意はあったのではないか。佐川氏の責任はゼロということはない」とただしたが、岸田文雄首相は「財務省としては、今回は難しいという判断だと報告を受けている」と答えた。

階氏は「認諾」で真相解明が遠ざかったとして、佐川氏の再度の証人喚問を求めたが、首相は「国会において議論される問題だ」と述べた。

首相は19日の代表質問で、改ざんを指示した職員に「求償権を有するとは考えていない」と答弁している。」





国家賠償法1条1項は、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」と定めており、同条2項は、「前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。」と定めています。

様々な関係者に肩入れするつもりは全くありませんが、「故意または重大な過失」は、「違法に他人に損害を加えた」こと、すなわち、単なる改ざんに関してではなく、部下の自死に関して必要な訳ですから、重大な過失であればともかく、「故意があったのではないか。」という質問は、的外れではないですかね。

posted by 森越 壮史郎 at 12:18| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする