2021年12月24日

国が一転、賠償責任認める 職員自殺巡る訴訟 真相解明に幕引き 森友決裁文書改ざん


以下は、共同通信(2021年12月16日)からの引用です。

「森友学園問題に関する財務省の決裁文書改ざんを苦に2018年に自殺した財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫(あかぎ・としお)さん=当時(54)=の妻雅子(まさこ)さん(50)が、国と同省理財局長だった佐川宣寿(さがわ・のぶひさ)元国税庁長官に損害賠償を求めた訴訟の進行協議(非公開)が15日、大阪地裁であり、国が賠償責任を認め、約1億円の請求を受け入れる書面を提出した。

国との訴訟は同日終結し、今後は佐川氏のみを被告として続く見通し。

請求棄却を求めて争ってきた国は一転して賠償金を支払うことで幕引きを図った形だ。

雅子さん側が明らかにした。

事前の通告はなかったという。

国側は今年6月、赤木さんが改ざんの経緯をまとめた「赤木ファイル」を雅子さん側に開示。

佐川氏の指示をうかがわせる内容があったが、詳細は判然とせず、雅子さん側は解明を求めていた。

雅子さんの代理人弁護士によると、国家賠償請求訴訟で国が訴えをそのまま認めて終結させるのは極めて異例。

雅子さんは大阪市内で開いた記者会見で「負けたような気持ちだ。真実を知りたいと訴えてきたが、こんな形で終わってしまい、悔しくて仕方がない」と話した。

代理人弁護士は「事実を解明する訴訟だったが非公開の協議で訴訟を終わらせてしまった。国は隠したい事実があるのではないか」と批判した。

国側は地裁に提出した書面で赤木さんの自殺原因を「財務省理財局からの決裁文書改ざん指示や森友学園案件に係る情報公開請求への対応などの業務に忙殺され精神面、肉体面に過剰な負荷が継続したことで精神疾患を発症した」と説明した。

請求を受け入れた理由は「いたずらに訴訟を長引かせるのは適切ではなく、決裁文書の改ざんという重大な行為が介在している事案の性質などに鑑みた」とした。

雅子さんは改ざんを強いられて精神的に追い詰められ自殺したと主張。

国は改ざんと自殺との因果関係に言及せず、賠償責任は否定してきた。

鈴木俊一財務相は15日、財務省内で記者団に「職務に精励していた赤木さんに改めて哀悼の誠をささげる。ご遺族に心よりおわび申し上げる」と語った。

岸田文雄首相は官邸で記者団に「裁判所の訴訟指揮に基づいて訴訟を進めてきた。財務省が損害賠償について全面的に認めた」と述べた。

改ざんを指示したとされる佐川氏側も15日、地裁に書面を提出した。

国家公務員による損害は国が賠償するため、公務員個人は責任を負わないとする最高裁判例を示し「個人が責任を負うことはない」と改めて主張した。

※財務省決裁文書改ざん

森友学園への国有地売却を巡り、財務省理財局長だった佐川宣寿(さがわ・のぶひさ)元国税庁長官は国会で森友側との価格交渉を否定、記録を廃棄したと答弁した。

その後、交渉をうかがわせる文書や音声データが見つかり、安倍晋三元首相の妻昭恵氏や、政治家が関わる記述を削除するなど14件の文書を改ざんしたことが発覚。

近畿財務局の元職員赤木俊夫(あかぎ・としお)さんが佐川氏らの指示で改ざんを強いられたとしてうつ病を発症して休職、2018年3月に自殺した。

文書改ざんや背任などの疑いで告発された佐川氏らは不起訴となった。」






請求の認諾ですね↓

人事訴訟などの一定の例外を除き、請求の認諾は制度として認められていますし、争いがないのですから、裁判が終わるのは、どうしようもないです。

国側にしても、もっと早く認諾していれば、傷口は浅くて済んだのではないか、なぜ今認諾なのか、という気もしますが。

ちなみに、佐川氏側が引用した最高裁判例は、こちらではないかと思います↓

ですから、こちらも、そう遠くなく結審しそうですね。

結局、こういう類の事件では、印紙代は余計にかかりますが、被告側が認諾できない様な金額を請求するしかない、ということになるのでしょうね。

posted by 森越 壮史郎 at 17:37| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月16日

相続登記義務化、24年施行 所有者不明土地対策


以下は、共同通信(2021年12月14日)からの引用です。

「政府は14日、所有者不明土地問題の解消を図る民法や不動産登記法などの改正法の施行日に関する政令を閣議決定した。

相続不動産の取得を知ってから3年以内の登記を義務化する規定は、2024年4月1日から施行。

正当な理由がないのに怠れば、10万円以下の過料を科す。

法務局に自分が相続人の一人であると申告すれば、登記義務を果たしたと見なし、手続きを簡略化する制度も同日から施行する。

一定の要件を満たせば相続した土地の所有権を手放し、国に帰属させることができる新法は23年4月27日から。

遺産分割されないまま10年経過すると、法定割合に応じて自動的に分割する仕組みなどを設けた改正民法は23年4月1日から開始する。

引っ越しなどで名義人の住所や氏名が変わった際は、2年以内の変更登記を義務化するといった一部の規定の施行日は追って決定する。」






過料の制裁が、どの程度、実効性があるのかは、何とも言えませんが、司法書士さんは、喜びそうですね。

posted by 森越 壮史郎 at 19:07| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月14日

調書の誤記で判決取り消し 大阪高裁「法令違反」


以下は、共同通信(2021年12月08日)からの引用です。

「大阪地裁で判決が言い渡された民事訴訟を巡り、憲法が公開の法廷で行うと定めている口頭弁論を、非公開のまま結審したと書記官が調書に誤って記載し、訴訟手続きに重大な法令違反があったとして、大阪高裁が地裁判決を取り消し、審理を地裁に差し戻したことが7日、地裁への取材で分かった。

今年7月の高裁判決は、地裁での審理を「公開の法廷で行われたとは認められない」と指摘。

裁判の弁論や判決を原則として公開の法廷で行うよう定める憲法や関係法令に違反すると判断した。

問題になったのは、清掃会社の元役員が会社側に株主総会で可決された役員選任決議の無効確認を求めた訴訟2件。

判決などによると、両訴訟は昨年12月22日に法廷で弁論準備手続きを非公開で実施し、同日中に同じ法廷で公開の口頭弁論を開いて結審したが、担当の書記官は調書に弁論は非公開だったと誤記した。

地裁の西村欣也(にしむら・きんや)裁判長(当時)は誤記に気付かずに今年3月、訴えの一部を却下するなどの判決を言い渡し、元役員側、会社側の双方が控訴した。

誤記は控訴審が始まる前の地裁の内部チェックで発覚したが、西村裁判長ら担当裁判官が全員異動しており、調書はそのまま高裁に送られた。

地裁は双方の関係者に謝罪した。

地裁の中本敏嗣(なかもと・としつぐ)所長は「当事者に無用な負担を生じさせたのは誠に遺憾。職員に適切な事務処理について指導した」とコメントした。」





担当書記官の置き土産でしょうか。


でも、「公開の口頭弁論を開いて結審したが、担当の書記官は調書に弁論は非公開だったと誤記した」ということであれば、訴訟手続きに重大な法令違反があったとして、地裁に差し戻すほどのことなのですかね。


posted by 森越 壮史郎 at 19:26| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする