2021年03月30日

脅迫メールでも送信者保護 最高裁、通信の秘密重視


以下は、共同通信(2021年03月22日)からの引用です。

「脅迫的な内容のメールを受信した会社が、賠償請求のため送信者の情報が必要だとして、NTTドコモに記録提示を求めた裁判手続きで、最高裁第1小法廷(池上政幸(いけがみ・まさゆき)裁判長)は「通信の秘密は保護の必要性が高く、メールの内容にかかわらず提示義務を負わない」として、却下する決定をした。

18日付。

インターネット上の人権侵害救済には、プロバイダー責任制限法に基づく情報開示請求の手続きがあるが「不特定への通信」が対象で、1対1のメールでは請求できない。

このため会社側はドコモに対し、提訴前の証拠保全として接続記録の提示を申し立てていた。

第1小法廷は、電気通信事業法が表現の自由の保障と、プライバシー保護のために通信の秘密を定めていることから「事業者は、職務上知り得た事実について民事訴訟での証言を拒める」と指摘した。

その上で「利用者は秘密が保護されていると信頼しており、保護の必要性は高い」とし、送信者の情報は秘匿するべきだと判断した。

会社側の申し立てを認めた東京地裁と、東京高裁の決定を取り消した。

決定によると、東京都内のアダルトビデオ制作会社がウェブサイトに設けた問い合わせフォームに「お前ら自殺しろ」「殺されても自業自得だからな」といった匿名のメールが届いた。」





こちらは、早速、裁判所のホームページに掲載されていました↓

となると、脅迫罪で、刑事事件にするしかない、警察・検察が動いてくれないと、どうしようもない、ということになりますかね。

posted by 森越 壮史郎 at 19:24| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月23日

同性間でも内縁関係は成立 慰謝料支払い命じる判決確定 最高裁


以下は、毎日新聞(2021年3月19日)からの引用です。

「婚姻に準じた「事実婚(内縁)」が、同性カップルの間でも成立するかどうかが争われた慰謝料訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は17日付で不貞行為をした元パートナーの上告を棄却する決定を出した。

同性カップル間でも内縁関係が成立すると認めて元パートナーに慰謝料の支払いを命じた2020年3月の2審・東京高裁判決が確定した。

同性カップル間でも内縁関係が成立するとの判断が最高裁で確定したのは初とみられる。

裁判官4人全員一致の意見。

小法廷は「上告理由に当たらない」とだけ述べた。

17日には札幌地裁が同性婚を認めていない民法などの規定は憲法の平等原則に反するとした判決を出しており、これまで見過ごされてきた同性愛者の権利擁護を積極的に進める裁判所の姿勢が鮮明になっている。

1、2審判決によると、原告女性は10年から、元パートナーの被告女性と同居を開始。

14年には米国で結婚証明書を取得し、15年に日本で挙式した。

2人で子を育てることを計画し、第三者から精子の提供を受ける準備を進めていた。

しかし、17年に被告女性が精子提供者と恋愛関係にあったことが発覚し、関係が破綻。

原告女性は「内縁関係にあったのに裏切られた」として被告女性らに慰謝料を求めた。

19年9月の1審・宇都宮地裁真岡支部判決は「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」とした憲法24条について「同性婚を否定する趣旨とまでは解されない」と言及。

原告女性と被告女性の関係には「内縁に準じた法的保護に値する利益があった」として、被告女性に110万円の支払いを命じた。

高裁判決も、同性同士というだけで法律上保護される利益を否定することはできないと判断。

2人が約7年間同居し、結婚して子を育てようとしていた事情を重視し、2人が婚姻に準ずる関係にあったとして内縁の成立を明確に認め、双方の控訴を棄却した。

原告代理人の白木麗弥弁護士によると、判決確定を原告女性に知らせたところ、「涙をこらえるのが大変」との返事があったという。

白木弁護士は「泣き寝入りしていた同性愛者が声を上げやすくなるはずで、大きな一歩。ただ、内縁は、裁判をやってみないと認定されるかどうか分からない。同性愛者が安定した暮らしを送るためには、同性婚を認める法制化が必要だ」と指摘した。」





同性関係の判決等が続きますが、こちらは最高裁の判断ですから、重みがありますね。

単なる三行半の上告棄却決定なので、裁判所のホームページには掲載されていませんでしたが↓

posted by 森越 壮史郎 at 10:18| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月22日

同性不倫も「不貞行為」 妻の相手女性に賠償命令


以下は、共同通信(2021年03月18日)からの引用です。

「妻と不倫した女性に対し、夫が550万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁が同性同士の場合でも「不貞行為に当たる」として、女性に慰謝料など11万円の支払いを命じる判決を言い渡したことが17日、分かった。

判決は2月16日付。

夫の代理人弁護士によると、同性同士の不倫を不貞行為と認めた司法判断は珍しい。

従来は、婚姻関係にある男女の一方が同性と不倫をしても、不貞行為には当たらないとの見解が有力だったという。

女性側は「不貞行為は異性との間にのみ成立する」と主張したが、内藤寿彦(ないとう・としひこ)裁判官は「異性に限らず、夫婦生活を破壊するような性的行為があれば不貞行為に当たる」と退けた。

その上で、男性は妻が同性愛に関心を持ち、被告の女性と親しく付き合うことは認めていたが、性的行為までは許容していなかったとし「女性の行為により夫婦生活の平穏が害された」として、女性に賠償を命じた。

夫側は認容額が不十分として控訴した。

夫の代理人は取材に「同性か異性かにかかわらず、家族の関係性を壊すことの重大性を認めてくれた。社会の実態に合った判決だ」と話した。」





時代を反映した判決ということですかね。

1回の不貞行為を認定して、慰謝料10万円+消費税ではなく弁護士費用1万円で11万円というところでしょうか。

こういう事件は、なかなか判決には至らないので、相場は判然としませんが、私が司法修習生で民事裁判修習だった時に、男女間の不貞行為でしたが、確か、被告側が15回性行為をしたことを認めていて、和解が成立せずに判決となったのですが、認容額は慰謝料150万円+弁護士費用だったと記憶しています。

夫側が控訴するのであれば、対抗上、女性側も控訴すると思いますが、さて、どうなるのでしょうか。

posted by 森越 壮史郎 at 12:31| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする