2021年02月26日

孔子廟に土地無償提供違憲 最高裁、政教分離3例目 「特定宗教を援助」


以下は、共同通信(2021年02月25日)からの引用です。

「儒教の祖、孔子を祭る孔子廟(こうしびょう)のために那覇市が公有地を無償提供したことが、憲法の政教分離の原則に違反するかどうかが争われた住民訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人(おおたに・なおと)長官)は24日、「一般人から見て、市が特定の宗教を援助していると評価されてもやむを得ない」として違憲と判断した。

政教分離を巡る最高裁の違憲判決は、1997年の愛媛玉串料訴訟、2010年の空知太(そらちぶと)神社訴訟に続き3例目で、孔子廟に関する判断は初めて。

最高裁は、施設を所有する一般社団法人「久米崇聖会(そうせいかい)」と市の訴えを退け、使用料の全額免除は違法と結論付けた。

判決によると、14世紀に中国から渡来した職能集団「久米三十六姓」の子孫でつくる同会が13年、市の許可を得て中心部の松山公園に「久米至聖廟(しせいびょう)」を建設した。

住民の女性が提訴した。

判決で大法廷は、廟の外観が寺社に類似し、孔子の霊をあがめる年1回の祭礼のために建物が配置されているとして「宗教性が認められ、程度も軽微ではない」と指摘した。

市は観光資源としての意義や歴史的価値があると主張したが、判決は「かつての廟を復元したものではなく、文化財としての取り扱いを受けているわけでもない」と退け、無償提供の必要性や合理性はないとした。

免除される使用料は年額約576万円で社団法人側の利益は大きく、宗教的活動を容易にしたと述べた。

社会通念に照らして総合的に判断すると、憲法20条3項が禁じる国などによる宗教的活動に当たるとした。

裁判官15人中14人の多数意見。

今月定年退官した林景一(はやし・けいいち)裁判官が反対意見を付けた。

18年4月の那覇地裁判決が違憲と判断し、福岡高裁那覇支部判決も支持した。

※孔子廟(こうしびょう)

中国・春秋時代の思想家で、儒教の祖となった孔子を祭る建物。

孔子の死後、山東省・曲阜にあった旧居を廟に改築したのが始まりで、中国各地やアジアに広がった。

曲阜の孔子廟は、孔子の墓所などとともに世界文化遺産に登録されている。

日本では古代から教育機関に設けられ、江戸時代に儒教から発展した「朱子学」が幕府公認の官学になってからは、各地の藩校にも数多く建設された。

湯島聖堂(東京都文京区)や、足利学校(栃木県足利市)、旧閑谷(しずたに)学校(岡山県備前市)などにある孔子廟が著名だ。

※政教分離の原則

信教の自由を保障するために政府と宗教を分離し、国が宗教的に中立であることを求める原則。

憲法20条は、国や地方公共団体が特定の宗教団体に特権を与えたり、宗教的活動をしたりすることを禁じている。

憲法89条は、公金や公の財産を宗教団体に支出してはならないと定める。

国と神道が密接に結び付いた国家神道が軍国主義を支えた反省から、戦後の現行憲法に盛り込まれた。

判例では、完全な政教分離は難しく、関与が限度を超える場合は違憲だとされている。」





政教分離の原則ですか。

懐かしいですね。

私が司法試験に合格した年の憲法の論文試験の2問中の1問でした。

判決当日の夕方に見た時には、裁判所のホームページには掲載されていませんでしたが、今はもう掲載されていますね↓

posted by 森越 壮史郎 at 12:43| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月24日

再発患者の敗訴見直しか B型肝炎、3月上告審弁論


以下は、共同通信(2021年02月12日)からの引用です。

「集団予防接種が原因のB型肝炎を20年以上前に発症し、再発した男性患者2人が国に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(三浦守(みうら・まもる)裁判長)は10日、3月26日に上告審弁論を開くと決めた。

請求権が消滅する民法の除斥期間(20年)の起算点を、最初の発症時ととらえて請求を棄却した、二審福岡高裁判決を見直す可能性がある。

2017年12月の一審福岡地裁判決は、請求通り、2人にそれぞれ1250万円と弁護士費用を支払うよう国に命じた。

一方、19年4月の二審判決は「再発によって質的に異なる新たな損害が発生したとは言えない」として一審判決を取り消し、患者側の逆転敗訴とした。

一、二審判決によると、原告の1人は1987年に発症し、07年に再発。

もう1人は91年に発症し、04年に再発した。

提訴は08年と12年だった。

B型肝炎訴訟で最高裁は06年、国の責任を認定。

その後、被害救済の特別措置法が施行され、裁判を起こして和解すれば国から給付金を受け取る仕組みになっている。

慢性肝炎患者には1250万円が給付されるが、発症から20年が経過した後に提訴した場合は最大300万円にとどまる。

国は訴訟で300万円での和解を提案したが、2人は再発時を起算点にすべきだと訴えていた。」






先行している九州弁護団の事件ですね↓

当然のことながら、全国各地の弁護団にも、同様の事件がありますので、影響するところが大です。

弁護団以外の弁護士に依頼して、安易に除斥を前提とする和解をしてしまった方が、いなければ良いのですが。

B型肝炎訴訟に関するお問い合わせは、こちら↓までお願いします。

〒064-0801
札幌市中央区南1条西12丁目4 酒井ビル3F
全国B型肝炎訴訟北海道弁護団事務局
TEL 011-231-1941 FAX 011-231-1942

posted by 森越 壮史郎 at 17:32| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月19日

司法予備試験442人合格 合格率4・17%、過去最高


以下は、共同通信(2021年02月09日)からの引用です。

「法務省は8日、2020年の司法試験予備試験に計442人が合格したと発表した。

19年より34人減ったが、合格率は4・17%で、11年の試験開始以降最高となった。

合格者は法科大学院を修了しなくても、来年から5年間、司法試験を受験できる。

20年の予備試験出願者は1万5318人で、受験者数は1万608人。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で試験日程を延期し、出願者が希望すれば受験料を返還する措置を講じたため、受験者が減ったとみられる。

合格者のうち出願時に大学生だったのは243人、法科大学院生だったのは95人。

男性は367人、女性は75人だった。

今年1月末時点の合格者の平均年齢は25・89歳。

最年少は18歳、最年長は59歳だった。

予備試験は経済的な事情などで法科大学院を修了できない人が、司法試験の受験資格を得られる制度。

近年は法曹への近道として挑戦する傾向が強まっており、20年司法試験での予備試験ルートの合格者は378人で、合格率は89・36%と過去最高だった。」





司法試験の合格率が上がったのと歩調を揃えて、予備試験の合格率も過去最高となったのですね↓

予備試験は、法科大学院を修了した者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的としているのに(司法試験法第5条)、予備試験合格者の司法試験の合格率が圧倒的に高いというのはおかしな話ですから、確かに、予備試験の合格率は、余りにも低すぎだとは思いますが、何とかして、1500人程度の合格者を、堅持しようということなのでしょうね。

posted by 森越 壮史郎 at 16:46| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする