2020年07月30日

コロナ禍で司法停滞、最高裁など検証 IT化急務に


以下は、日本経済新聞(2020年7月15日)からの引用です。

「新型コロナウイルスの感染拡大で裁判期日取り消しなどが相次いだことを巡り、最高裁と全国8高裁は15日、問題点を検証する会議を開いた。

感染の再拡大に備え、公正・迅速な裁判と感染防止を両立するため、コロナ下の新しい裁判運営を模索する。
裁判のIT化も急務だ。

最高裁幹部と全国の高裁長官は15日、テレビ会議で協議。

最高裁の大谷直人長官は「感染の拡大防止と紛争解決機関としての役割を調和させ、実行することが最大の課題だった」と振り返り、「裁判運営も視野を広げて現在のありようを見直し、運用改善の実践が求められている」と述べた。

感染が再拡大した場合の期日の扱いを巡り、「各地の実情に応じ、地域社会と歩調を合わせて判断すべきだ」との意見が出たほか、民事訴訟の争点整理をオンラインで進める「ウェブ会議」の活用を求める声もあった。

各地の裁判所は緊急事態宣言後、逮捕状などの発行、勾留の判断、ドメスティックバイオレンス(DV)関係の手続き、急を要する仮処分の申し立てなどを除いた業務を大幅に縮小した。

司法統計によると、全国の裁判所で5月に判決や決定などがあった民事・行政訴訟の事件数は約5万4千件。

昨年5月の約11万7千件と比べて46%の水準にとどまった。

本庁だけで1日400件以上の裁判が開かれる東京地裁では緊急事態宣言で多くの民事訴訟の手続きが止まり、裁判員裁判は3〜5月に計34件の期日が取り消された。

家裁の調停なども中断が相次ぎ、別居する親子がふれあう「面会交流」が途絶える事態を招いた。

日本弁護士連合会は4月、「迅速な裁判を受ける権利は最大限尊重されなければならない。特に身体拘束されている被告の不利益は甚大」として裁判所に柔軟な対応を求める会長声明を出した。

ある法曹関係者は「在宅勤務や休校などで社会全体が外出を控える中、裁判や調停で裁判所に出向いてもらうのは難しい面があった」と漏らす。

ウェブ会議は導入済みの14裁判所で4〜5月に計167件の利用実績があり、コロナ下でも訴訟手続きを継続する上で一定の役割を果たした。

ウェブ会議は今年度中に全国の地裁本庁50カ所に拡大する見通し。

政府は2023年度にウェブ会議による口頭弁論、25年度に訴状のオンライン提出の実現を目指しているが、感染の再拡大を見据え一層の裁判のIT化が重要になっている。」





こちらはいつでもreadyですので、早期にIT化を実現して貰いたいものです。

例えば、4月23日に指定されていた期日が緊急事態宣言のため延期され、7月16日にようやく期日が再開したものの、次回期日は9月29日というペースでは、たまったものではありません。

まさか、これだけ休んでおきながら、例年通り、夏季休廷期間を取るという訳では、ありませんよね。

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2020年07月20日

交通事故で障害、賠償金は毎月の受け取り可能に 最高裁


以下は、朝日新聞デジタル(2020年7月9日)からの引用です。

「交通事故で障害が残った被害者が将来得られるはずだった収入を賠償金として保険会社から受け取る場合、実際の取り分が大きく減る一括払いではなく、取り分が減らないよう毎月受け取る形でもよいか。

この点が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第一小法廷(小池裕〈ひろし〉判長)は9日、一、二審判決を支持し、被害者側の意向に沿って毎月受け取ることを認めた。

一括払いを求めた保険会社側の敗訴が確定した。

第一小法廷は「被害者が求めた場合、不利益を回復させ、損害の公平な分担を図る賠償制度の目的や理念に照らして相当であれば認められる」との初判断を示した。

5人の裁判官全員一致の意見。

被害者の年齢や状況によっては、受取額が大幅に増えることになる。

被害者の損害は、将来得られたはずの収入が「逸失利益」として算定され、保険会社から受け取るのが一般的だ。

これまでは一括で受け取る「一時金」が慣例だったが、将来の利息分として半分以上差し引かれるケースもあり、被害者側の不満が強かった。

利息分を引かれない「定期金」での受け取りを最高裁が認めたことで被害者の選択肢が増え、年1万件を超える交通事故の裁判や保険の実務にも影響を与えそうだ。

裁判は北海道で2007年2月に起きた事故をめぐるもの。

当時4歳の男児が市道に飛び出して大型トラックにはねられ、頭部に重傷を負い、認知能力が下がり感情をうまくコントロールできない重い脳機能障害が残った。

男児と両親が15年6月、保険会社の損保ジャパンなどに賠償を求めて提訴した。

第一小法廷は、民法は賠償の受け取りを一時金に限定していないと指摘。

「障害の程度や賃金水準に大きな変化があった場合、実態に即した損害額に是正することが公平だ」として、いったん決まった賠償額を後で変えられる定期金の対象になると判断し、被害者の求めに応じて定期金を選ぶことを認めた。

札幌地裁・高裁も、「将来も安定した生活を送れるように」という両親の希望を受け、定期金での受け取りを認めていた。

労働能力を完全に失った男児の逸失利益を約2億6千万円と算出。

男児側の過失分を2割差し引いた上で、18〜67歳の49年間にわたり毎月一定額を支払うよう損保ジャパンに命じた。

一時金なら逸失利益は約6500万円に減る計算だった。

定期金は利息分が差し引かれず、障害が悪化すれば途中で増額も請求できる柔軟さが特徴。

ただ、障害が回復すれば保険会社から減額を求められる可能性もあり、容体の確認のために保険会社から長期間接触を受け続ける負担もある。

損保ジャパンは「被害者の選択肢が増えたものと認識している。判決内容を精査し、適切に対応していく」とコメントした。

逸失利益

交通事故などの不法行為により、死亡したり、けがをしたりした人が将来得られていたはずの利益。

障害が残った場合、裁判所はその程度に応じて「労働能力の喪失率」を決め、事故前の収入や平均賃金と働ける期間(一般的に18〜67歳)をかけあわせて算出する。

一括で受け取る場合、将来の収入を先に受け取ることになるため、運用すれば得られるはずの利息分(中間利息)が差し引かれる。

慣例では5%の法定利率に基づき複利で計算されるため、対象期間が長くなるほど引かれる額も膨らむ。

普通預金の利率が0・1%に及ばない超低金利時代の実情とかけ離れているという批判が強く、民法改正で今年4月から3%に引き下げられた。」





早速、裁判所のホームページに掲載されていました↓
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89571

民法改正前には、中間利息に関する具体的な定めはなく、最高裁の判例によって、民事法定利率である5%とされていて、札幌の弁護士が頑張って、札幌高裁の裁判長の確か退官間際の置き土産判決で、3%という判決も勝ち取りましたが、結局、最高裁で破棄されたりしていましたね↓
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52406

この方の場合、就労可能年限である18歳から67歳までの49年間分(50年間じゃないのかしら?)の逸失利益を、定期金で分割で受け取ると約2億6千万円になるのだそうですが、これに対して、中間利息を控除して一括で受け取ると、僅か6500万円と4分の1になってしまうのだそうです。

ただ、年少者の場合、事故時の年齢から就労可能年限である67歳までの期間に相当するライプニッツ係数から、事故時の年齢から就労開始始期の18歳までの期間に相当するライプニッツ係数を差し引いた係数で、一括で受け取る場合の逸失利益を計算することになっているところ、事故は2007年ですから、旧民法時代の中間利息5%が適用されるので、ライプニッツ係数は、事故時の4歳から就労可能年限である67歳までの63年間に相当する19.075から、事故時の4歳から就労開始始期の18歳までの14年分の9.899を差し引いた9.176で、これで計算すると、5000万円足らずにしかなりませんが(260,000,000÷50×9.176=47,715,200)、私の計算が間違っていますかね↓
https://www.ms-ins.com/information/product/car/20190826_leibnizcoefficient/pdf/car_leibnizcoefficient_henkou.pdf

それはともかく、ライプニッツ係数は複利計算なので、年少者の場合、5%であろうが3%であろうが、逸失利益を一括で受け取ると、定期金で分割で受け取る場合の何分の1かになってしまい、民法改正後も、未だに超低金利時代の実情と大きくかけ離れているのですよね。

地裁・高裁とも札幌ですから、札幌の弁護士が受任しているのだと思いますが、弁護士の報酬も、定期金で頂くことになるのでしょうか。

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2020年07月06日

「ツイッターは情報流通の基盤」逮捕歴、削除請求を棄却


以下は、朝日新聞デジタル(2020年6月29日)からの引用です。

「ツイッター上の検索で約10年前に自身が逮捕された記事の一部が表示され人格権を侵害されたなどとして、東日本の男性が投稿の削除を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(野山宏裁判長)は29日、削除を命じた一審・東京地裁判決を取り消し、男性の請求を棄却した。

判決はまず、ツイッターの位置づけについて、全世界で6番目にアクセスが多いサイトであり、トランプ大統領をはじめとして各界の著名人も利用することなどを踏まえれば、「現代社会で情報流通の基盤として大きな役割を果たしている」と指摘。

投稿の削除を請求できるのは「誰でも閲覧できる状態を続ける必要性などと比べ、公表されない法的利益が明らかに優越する時に限られる」と述べ、2017年の最高裁決定が示したグーグルなどの検索サイトでの削除の判断基準を踏襲した。

その上で、原告の男性が逮捕されたのは、のぞき目的で女湯の脱衣場に侵入した容疑で「決して軽微な犯罪ではない」とし、公益目的で投稿されたと判断。

グーグルなど一般の検索サイトでは既に逮捕歴が表示されず、男性が不利益を受ける可能性が低下していることも考慮し、「削除する利益が明らかに優越するとはいえない」と結論づけた。

昨年10月の一審判決はツイッターが「情報流通の基盤になっているとまではいえない」などとして、削除のハードルがグーグルなどの検索サイトより低いと示した上で、削除を命じた。」





ツイッター側の控訴審での主張立証活動によるものなのでしょうか。

それとも、最近、トランプ大統領が訳の分からないことをつぶやくのを、ニュースで取り上げられることが多いからなのでしょうか。

はたまた、東京高裁のこの裁判体の裁判官が、ツイッターを利用しているからなのでしょうか。

男性側は、当然、上告するのでしょうが、さて、どうなるのでしょうか。

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posted by 森越 壮史郎 at 17:48| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする