2012年09月25日

パッケージ類似認めず=大幸薬品の請求棄却−大阪地裁


以下は、時事ドットコム(2012/09/20)からの引用です。

「自社の胃腸薬「セイロガン糖衣A」と類似したパッケージを使っているなどとして、大幸薬品(大阪府吹田市)が富山市の製薬会社「キョクトウ」を相手取り、販売差し止めや損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、大阪地裁であり、山田陽三裁判長は、類似商品とは認められないとして請求を棄却した。

大幸薬品側は即日控訴した。

同裁判長は、「正露丸」は遅くとも1954年ごろまでに普通名称となっていたと指摘。

「大幸薬品のパッケージで自他の識別機能を持つのはラッパのマーク部分で、被告商品にはこれに類する表示がない」と述べ、類似性を否定した。

大幸薬品側は、パッケージのデザインが酷似し「飲みやすい白い錠剤」の文言も同一などとして、消費者が混同する恐れがあると主張していた。

判決後、大幸薬品の担当者は「判決は残念で遺憾」と述べた。キョクトウの安村善信社長は「当然の判決。これからも安全、有効でリーズナブルな商品を提供したい」としている。」



以下は、同じく時事ドットコム(2012/09/20)からの引用です。

越後製菓の勝訴確定=切り餅特許訴訟−最高裁

切り餅をきれいに焼くための切り込みをめぐる特許権を侵害されたとして、越後製菓(新潟県長岡市)がサトウ食品工業(新潟市)に商品の製造差し止めと損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は19日付で、サトウ側の上告を棄却する決定をした。

特許権侵害を認め、製造差し止めと約8億円の賠償を命じた二審知財高裁判決が確定した。

越後製菓は切り餅の側面に切り込みを入れることで、焼くときれいに膨らむ技術で特許を取得したが、側面に加えて上下に十字型の切り込みを入れた「サトウの切り餅」の一部商品が特許権を侵害しているとして提訴した。

一審東京地裁は、上下面にも切り込みがあることを理由に特許権の侵害を認めなかったが、二審知財高裁は侵害を認め、サトウ側に製造差し止めと約8億円の損害賠償を命じていた。

サトウ食品工業の話

判決確定に備え既に8億円余りを特別損失に計上している。現在製造・出荷する切り餅は(設計変更を行っており)最高裁決定で影響を受けるものではない。」



切り餅訴訟については、やはり最高裁は知財高裁の判断を尊重しましたね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/285607381.html

サトウ食品工業側としては、判決確定に備えて特別損失に計上するくらいであれば、どこかの段階で何とか和解に持ち込んだ方が良かったように思いますが、越後製菓側が、強硬に和解を拒んだということでしょうか。

正露丸訴訟については、ウィキペディアによると、大幸薬品は、正露丸について商標登録をしているものの、普通名称化しており登録は無効であるとの判断が最高裁で確定しているそうですので↓、商標権の侵害ということでは無理なので、不正競争防止法2条1項1号の周知表示混同惹起行為、同項2号の著名表示冒用行為あたりを主張したのだと思いますが、ラッパのマークがないという理由で、類似性が否定されたとのことです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%AE%E9%80%9A%E5%90%8D%E7%A7%B0%E5%8C%96%E3%81%97%E3%81%9F%E5%95%86%E6%A8%99%E4%B8%80%E8%A6%A7

石屋製菓の「白い恋人」は商標登録されていますが、「白い」と「面白い」とでは全然言葉の意味が違いますし、正露丸と比べると、「白い恋人」と「面白い恋人」とでは、パッケージも随分異なるように思いますが…。

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2012年09月24日

サイバー攻撃、19サイト被害=政府・企業のHP改ざん−中国ハッカー集団が予告


以下は、時事ドットコム(2012/09/19)からの引用です。

「警察庁は19日、総務省統計局や東北大学病院など政府機関や民間企業の19サイトがサイバー攻撃を受け、ホームページ(HP)改ざんや閲覧障害の被害を確認したと発表した。

沖縄県・尖閣諸島の国有化をめぐり、中国の大手サイトで攻撃を呼び掛ける書き込みなどが相次いでおり、同庁は警戒を強めている。

同庁によると、政府が尖閣諸島の国有化を閣議決定した11日以降、中国最大規模のハッカー集団「紅客連盟」が日本の政府機関や金融機関など約300組織を名指しして攻撃を予告。

中国の大手チャットサイトでは「釣魚島(尖閣諸島の中国名)を侵犯するな!」との記述や、攻撃を呼び掛ける書き込みなどが相次いだ。

満州事変の発端となった柳条湖事件から81年を迎えた18日夜、書き込み数はピークに達したという。

被害を受けたのは、防衛省や東京工業大学世界文明センター、最高裁が管理する裁判所HPなど19サイト。

システムへの不正侵入や大量のデータを送り付けて機能をまひさせる攻撃を受けたとみられ、HPが閲覧しにくくなったほか、中国国旗が掲示されるなどした。

東工大によると、同大では8月に開催した小中学生向けイベントへの参加申込者の氏名や住所など、延べ1068人分の情報が流出した。」



続いて、以下は、同じく時事ドットコム(2012/09/21)からの引用です。

裁判所HP、7日ぶり再開=改ざん、中国からと判明−最高裁

「尖閣諸島を中国の領土と主張する内容に改ざんされ、閉鎖されていた全国の裁判所のホームページ(HP)が21日、7日ぶりに再開した。

ただ、判例検索システムなど一部の機能は、再開後もしばらく利用できないという。

管理運営する最高裁によると、HPは中国に割り当てられたIPアドレス(ネット上の住所)から攻撃を受けたことが判明した。

外部への情報流出は確認されていないが、閉鎖中にも不自然なアクセスがあり、引き続き注意が必要という。」



確かに、ようやくアクセスできるようになりましたが、サイト内検索及び裁判例情報の検索は利用できないのだそうで、仕事柄、早く完全復旧して欲しいです↓
http://www.courts.go.jp/

我々日本人が、色々な面で、危機意識が不足していることを痛感すると共に、自分自身が、結構、インターネットの情報に依存していることも痛感しました。

インターネットを含むデジタルデータは、検索したり引用したりするには、非常に便利なのですが、判例雑誌のように、届いた都度ひと通り読むという訳には行かず、専門家としての「感覚」を磨くには余り役に立たないようにも思うので、やはり、判例雑誌の購入は、継続しなくては。

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2012年09月22日

「18法科大学院、入学者の質に問題」と指摘


以下は、YOMIURI ONLINE(2012年9月20日)からの引用です。

「中央教育審議会の法科大学院特別委員会ワーキンググループは20日、全国74の法科大学院のうち18校について、成績の悪い受験者を合格させ、入学者の質を確保する態勢に問題があるとする調査結果をまとめた。

「一部の法科大学院の問題意識の低さを放置すると、法曹養成制度全体の信頼性を失う」として改善を強く求めており、これを受けて文部科学省は各校に対応を促す方針。

今年度の入試の結果を分析したところ、法科大学院志願者が受ける共通テスト「適性試験」の成績が全受験者の下位15%未満の者を合格させた法科大学院が18校あった。

うち1校は、10人以上も合格させていた。

大学名は公表されなかった。

報告書では、適性試験の成績が低い受験者について、「一部例外を除き、入学後の成績も伸びず、仮に修了できたとしても司法試験に合格していない」と指摘。

下位15%をめどに最低基準点を設け、入学させないようなシステムにするよう求めた。」



法科大学院入試のための適性試験は、大学入試のためのセンター試験のようなものだと思いますが(受けたことがありません)、法科大学院を受験するためには、必ず受けなければならない試験ですので、この成績を全く無視するかのような姿勢が、許されて良い訳がありません。

本年度の適性試験の受験者の実人数は、過去最低の5967名と、6000人を割り込んでいます↓
http://www.jlf.or.jp/jlsat/pdf/20120709_kekka.pdf

平成15年の開始当初から一昨年までは、日弁連法務研究財団と大学入試センターの2者が適性試験を行っていましたので、両方を受験していた人もいたのだと思いますが、平成15年の実受験者数は、前者が18355人、後者が35521人とのことですので、もの凄い勢いで、法曹を志す人が減っていることは間違いありません。

リスクに見合うだけの魅力を感じないので法曹を志す人が減る→学生数が少ないと法科大学院を経営できないのでレベルの低い人も合格させざるを得ない→結局司法試験の合格率が低迷する…という負の連鎖に陥っているのが現状で、司法を強化するどころか、弱体化する結果になっていると思います。

この報道の元となっている中央教育審議会の法科大学院特別委員会は、文部科学省です↓
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/index.html

法曹の養成に関するフォーラムと、これを引き継いだ法曹養成制度検討会議は、法務省です↓
http://www.moj.go.jp/housei/shihouhousei/housei01_00044.html
http://www.moj.go.jp/housei/shihouseido/housei10_00001.html

上記両省に、司法試験の合格者年3000人は無理と勧告したのは、総務省です↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/265946474.html
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/000056940.html#seisakuhyokasyo2

司法は最後の砦です。

弁護士の助力なしに、裁判等の手段により、大企業や国家に立ち向かって行くことは、不可能なのではないかと思います。

幾ら弁護士が頑張ったところで、裁判官に適正公平な判断をして貰えなければ、どうしようもありません。

検察官にも、適正公正な捜査・処分をして貰わなくては困ります。

迷走することなく、早急に、抜本的な改革を行い、魅力ある法曹界にして頂きたいです。

札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ
posted by 森越 壮史郎 at 16:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする