2021年03月08日

家賃滞納者の家財搬出 2審は「追い出し条項あたらず」


以下は、THE SANKEI NEWS(2021年3月5日)からの引用です。

「賃貸住宅の家賃滞納者をめぐり、一定の要件を満たせば物件を明け渡したとみなして家財を処分できると定めた条項は「追い出し条項」にあたり違法だとしてNPO法人「消費者支援機構関西」(大阪市)が家賃保証会社「フォーシーズ」(東京)に条項の差し止めを求めた訴訟の控訴審判決が5日、大阪高裁であった。

西川知一郎裁判長は、同社側に一部の条項差し止めを命じた1審大阪地裁判決を取り消し、同NPO側の全面敗訴を言い渡した。

問題となったのは、同社が借り主らと結ぶ契約の中で、2カ月以上の家賃滞納▽連絡が取れない▽長期にわたり電気、ガスなどの使用がない▽客観的に見て再び住宅を使用する様子がない−の4要件を満たせば物件を明け渡したとみなし、家財を処分できると定めた条項。

1審判決は、法的手続きを経ずに一方的に家財を搬出できるなどとして条項を違法と判断した。

だが西川裁判長は判決理由で、4要件を満たす状況では借り主がすでに家財を守る意思を失っている可能性が高く、「占有権が消滅していると認められる」と指摘。

消費者利益の保護を定めた消費者契約法にも反しないと判断した。

同NPO側の代理人弁護士は「法的手続きを経て慎重に決めるべき明け渡しの判断を業者側に委ねる判決で、不当だ」と述べ、上告を検討するとした。

同NPOは一般消費者に代わり訴訟を起こすことができる「適格消費者団体」。

同NPOが原告となった追い出し条項をめぐる訴訟で高裁判決が出たのは今回が初めて。」






一審判決の時は、特にブログに掲載した記憶はありませんが、以下は、SankeiBiz(2019年6月23日)からの引用です。

マンション「追い出し条項」は違法 大阪地裁判決

「賃貸マンションなどで借り主が家賃を滞納した場合に強制的に退去を迫る「追い出し行為」につながる契約条項は消費者契約法に違反するとして、大阪市のNPO法人「消費者支援機構関西」が家賃保証会社「フォーシーズ」(東京)に条項の差し止めを求めた訴訟の判決が21日、大阪地裁であった。

西村欣也(きんや)裁判長は一部の条項を違法と判断、差し止めを命じた。

判決によると、同社が借り主らと結ぶ契約には「家賃を2カ月以上滞納し、連絡が取れないなどの場合は物件を明け渡したとみなす」との条項があり、一方的に持ち物を搬出・保管できると定めている。

西村裁判長は判決理由で、条項は賃貸契約が終了しているかどうかを問わずに明け渡したとみなすものだと指摘。

その上で、法的手続きを経ずに一方的に持ち物を搬出・保管するのは「借り主の占有権を侵害する」と認め、条項は違法と判断した。

原告側は、家賃滞納時に同社の権限で賃貸契約を解除できると定めた条項などの差し止めも求めていたが、棄却した。

フォーシーズの代理人弁護士は「判決は遺憾。直ちに控訴する予定」とのコメントを出した。」






家賃保証会社ならずとも、賃借人の所在がわからず、公示送達→判決→強制執行と何か月もかからないと次の賃借人を募集できないのか、すぐに募集できるのかは、大きな差ですよね。

我々、弁護士の仕事が、減ってしまいそうですが。

適格消費者団体側としては、当然、上告するものと思われますが、さて、どうなるのでしょうか。

posted by 森越 壮史郎 at 18:16| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月26日

孔子廟に土地無償提供違憲 最高裁、政教分離3例目 「特定宗教を援助」


以下は、共同通信(2021年02月25日)からの引用です。

「儒教の祖、孔子を祭る孔子廟(こうしびょう)のために那覇市が公有地を無償提供したことが、憲法の政教分離の原則に違反するかどうかが争われた住民訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人(おおたに・なおと)長官)は24日、「一般人から見て、市が特定の宗教を援助していると評価されてもやむを得ない」として違憲と判断した。

政教分離を巡る最高裁の違憲判決は、1997年の愛媛玉串料訴訟、2010年の空知太(そらちぶと)神社訴訟に続き3例目で、孔子廟に関する判断は初めて。

最高裁は、施設を所有する一般社団法人「久米崇聖会(そうせいかい)」と市の訴えを退け、使用料の全額免除は違法と結論付けた。

判決によると、14世紀に中国から渡来した職能集団「久米三十六姓」の子孫でつくる同会が13年、市の許可を得て中心部の松山公園に「久米至聖廟(しせいびょう)」を建設した。

住民の女性が提訴した。

判決で大法廷は、廟の外観が寺社に類似し、孔子の霊をあがめる年1回の祭礼のために建物が配置されているとして「宗教性が認められ、程度も軽微ではない」と指摘した。

市は観光資源としての意義や歴史的価値があると主張したが、判決は「かつての廟を復元したものではなく、文化財としての取り扱いを受けているわけでもない」と退け、無償提供の必要性や合理性はないとした。

免除される使用料は年額約576万円で社団法人側の利益は大きく、宗教的活動を容易にしたと述べた。

社会通念に照らして総合的に判断すると、憲法20条3項が禁じる国などによる宗教的活動に当たるとした。

裁判官15人中14人の多数意見。

今月定年退官した林景一(はやし・けいいち)裁判官が反対意見を付けた。

18年4月の那覇地裁判決が違憲と判断し、福岡高裁那覇支部判決も支持した。

※孔子廟(こうしびょう)

中国・春秋時代の思想家で、儒教の祖となった孔子を祭る建物。

孔子の死後、山東省・曲阜にあった旧居を廟に改築したのが始まりで、中国各地やアジアに広がった。

曲阜の孔子廟は、孔子の墓所などとともに世界文化遺産に登録されている。

日本では古代から教育機関に設けられ、江戸時代に儒教から発展した「朱子学」が幕府公認の官学になってからは、各地の藩校にも数多く建設された。

湯島聖堂(東京都文京区)や、足利学校(栃木県足利市)、旧閑谷(しずたに)学校(岡山県備前市)などにある孔子廟が著名だ。

※政教分離の原則

信教の自由を保障するために政府と宗教を分離し、国が宗教的に中立であることを求める原則。

憲法20条は、国や地方公共団体が特定の宗教団体に特権を与えたり、宗教的活動をしたりすることを禁じている。

憲法89条は、公金や公の財産を宗教団体に支出してはならないと定める。

国と神道が密接に結び付いた国家神道が軍国主義を支えた反省から、戦後の現行憲法に盛り込まれた。

判例では、完全な政教分離は難しく、関与が限度を超える場合は違憲だとされている。」





政教分離の原則ですか。

懐かしいですね。

私が司法試験に合格した年の憲法の論文試験の2問中の1問でした。

判決当日の夕方に見た時には、裁判所のホームページには掲載されていませんでしたが、今はもう掲載されていますね↓

posted by 森越 壮史郎 at 12:43| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月24日

再発患者の敗訴見直しか B型肝炎、3月上告審弁論


以下は、共同通信(2021年02月12日)からの引用です。

「集団予防接種が原因のB型肝炎を20年以上前に発症し、再発した男性患者2人が国に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(三浦守(みうら・まもる)裁判長)は10日、3月26日に上告審弁論を開くと決めた。

請求権が消滅する民法の除斥期間(20年)の起算点を、最初の発症時ととらえて請求を棄却した、二審福岡高裁判決を見直す可能性がある。

2017年12月の一審福岡地裁判決は、請求通り、2人にそれぞれ1250万円と弁護士費用を支払うよう国に命じた。

一方、19年4月の二審判決は「再発によって質的に異なる新たな損害が発生したとは言えない」として一審判決を取り消し、患者側の逆転敗訴とした。

一、二審判決によると、原告の1人は1987年に発症し、07年に再発。

もう1人は91年に発症し、04年に再発した。

提訴は08年と12年だった。

B型肝炎訴訟で最高裁は06年、国の責任を認定。

その後、被害救済の特別措置法が施行され、裁判を起こして和解すれば国から給付金を受け取る仕組みになっている。

慢性肝炎患者には1250万円が給付されるが、発症から20年が経過した後に提訴した場合は最大300万円にとどまる。

国は訴訟で300万円での和解を提案したが、2人は再発時を起算点にすべきだと訴えていた。」






先行している九州弁護団の事件ですね↓

当然のことながら、全国各地の弁護団にも、同様の事件がありますので、影響するところが大です。

弁護団以外の弁護士に依頼して、安易に除斥を前提とする和解をしてしまった方が、いなければ良いのですが。

B型肝炎訴訟に関するお問い合わせは、こちら↓までお願いします。

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全国B型肝炎訴訟北海道弁護団事務局
TEL 011-231-1941 FAX 011-231-1942

posted by 森越 壮史郎 at 17:32| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする