2018年01月17日

民法改正案 相続で配偶者に居住権 高齢社会に対応


以下は、毎日新聞(2018年1月16日)からの引用です。

「法務省は16日、死亡した人(被相続人)の遺産分割で配偶者の優遇を図る民法改正案を22日召集の通常国会に提出する方針を固めた。

配偶者が相続開始時に居住していた建物に住み続ける権利「配偶者居住権」の新設や、婚姻期間が長期間の場合に配偶者が生前贈与や遺言で譲り受けた住居(土地・建物)は原則として遺産分割の計算対象とみなさないようにすることなどが柱。

高齢化を受け、配偶者の老後の経済的安定につなげる狙いがある。

相続法制の見直しを検討している法制審議会(法相の諮問機関)の部会が16日、民法改正案の要綱案を取りまとめた。

来月の法制審総会で上川陽子法相に答申される。

民法の相続分野の大幅な見直しは1980年以来、約40年ぶり。

新設する居住権は、原則亡くなるまで行使でき、譲渡や売買はできない。

その評価額は、平均余命などを基に算出され配偶者が高齢であるほど安くなることが想定される。

現行法でも配偶者が建物の所有権を得て住み続けることができるが、建物の評価額が高額の場合、他の相続財産を十分に取得できない恐れが指摘されてきた。

配偶者が居住権を得ることを選択すれば、他の財産の取り分が実質的に増えると見込まれる。

例えば、現行法では、夫が死亡して、妻と一人息子が家(評価額2000万円)と現金など他の財産(3000万円)を相続する場合、遺産の取り分は原則2分の1(2500万円)ずつで、妻が家の所有権を得て相続すると現金などは500万円しか得られない。

これに対し居住権の評価額は所有権より安くなり、その分、他の財産を多く受け取れることになる。

また、現行法では生前贈与などがされた住居は被相続人が遺言などで「住居は遺産に含まない」といった意思表示をしていなければ、遺産分割の計算対象となる。

そのため、要綱案は、婚姻期間が20年以上であれば、配偶者が生前贈与などで得た住居は「遺産とみなさない」という意思表示があったと推定する規定を民法に加えることとした。

このほか、要綱案は、相続人以外の被相続人の親族(相続人の妻など)が被相続人の介護を行った場合、一定の要件を満たせば相続人に金銭請求できるようにする。

また、現行で自筆でなければならない自筆証書遺言の財産目録をパソコンで作成することも可能とし、法務局で自筆証書遺言を保管する制度を創設する案も盛り込んでいる。

民法改正(相続分野)の要綱案の主なポイント

【配偶者の居住の保護】
配偶者が相続開始時に居住している被相続人所有の建物に住み続けることができる権利を創設し、遺産相続の選択肢の一つとして取得できる

【遺産分割】
婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、配偶者が居住用の不動産(土地・建物)を生前贈与したときは、その不動産を原則として遺産分割の計算対象としてみなさない

【遺言制度】
自筆ではなくパソコンなどでも自筆証書遺言の財産目録を作成できる。
法務局が自筆証書遺言を保管する制度を創設する

【相続の効力】
遺言などで法定相続分を超えて相続した不動産は、登記をしなければ第三者に権利を主張できない

【相続人以外の貢献の考慮】
相続人以外の被相続人の親族(相続人の妻など)が被相続人の介護をしていた場合、一定の要件を満たせば相続人に金銭請求できる 」




法務省の法制審議会−民法(相続関係)部会のページは↓
http://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_00294.html

実の親子や兄弟なのだから、みんなで話し合って、柔軟に分割すれば良いだけの話ではないか、と思うかも知れませんが、少なくとも、我々のところに来るケースでは、実の親子や兄弟でも、熾烈な争いとなり、解決までに何年もかかるケースも少なくありません。

やはり、公正証書遺言を作成しておくことを、お勧めします↓
http://morikoshi-law.com/yuigon.html

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2018年01月11日

「夫婦別姓選択できないのは憲法違反」サイボウズ社長らが損害賠償求め提訴 東京地裁


以下は、産経ニュース(2018.1.9)からの引用です。

「日本人同士の結婚で夫婦別姓を選択できないのは憲法に違反するとして、ソフトウエア開発会社「イボウズ」(東京)の青野慶久社長(46)ら4人が9日、国を相手取り、計220万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

訴状などによると、日本人同士の結婚では別姓を選択できないのに対し、日本人同士の離婚や、日本人と外国人が結婚・離婚する場合は、戸籍法の規定で別姓を選択することもできる。

原告側は、「日本人同士の結婚の場合だけ戸籍法上の手当てが設けられていないのは法の欠陥で、憲法違反」と主張している。

青野社長は平成13年に結婚し妻の姓を選択したが、仕事などでは旧姓「青野」を通称として使用している。

しかし保有株式の名義変更のために手数料が約81万円発生したほか、公式文書は戸籍名を使用する必要があるため同社の株主が混乱するなどし、「効率的な経済活動を阻害する」としている。

東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した代理人の作花知志弁護士は、「日本人同士の結婚でも姓を選択できる規定を戸籍法に設け、氏の問題で不都合が生じないようケアするべきだ」と述べ、青野社長は「旧姓に法的根拠を与えることでたくさんの方々が救われると思う」と話した。

ほかの原告は神奈川県の20代女性と東京都の事実婚の20代男女。

夫婦同姓を定めた民法の規定をめぐっては、最高裁が27年に合憲と判断している。」




以前、提訴するという報道があり、ブログで取り上げたと思っていましたが、気のせいだったようです。

夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲と判断した平成27年12月26日の最高裁判決については↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/431526134.html

今回の提訴は、民法ではなく、戸籍法が違憲ということのようですが、実体法である民法が夫婦同姓を定めている以上、手続法である戸籍法が夫婦別姓を認めていないのは、当然の帰結ではないでしょうか。




と思ったら、以下は、朝日新聞デジタル(2018年1月9日)からの引用です。

旧姓使用の最高裁判事が就任 ホテル宿泊拒まれた経験も

「9日付で最高裁長官に就任した大谷直人氏(65)と、最高裁判事に就任した前東京高裁長官の深山卓也氏(63)、弁護士の宮崎裕子氏(66)が9日、会見を開き、それぞれ抱負を語った。

大谷氏は「国民から身近な存在として、信頼される裁判所の実現に全力を傾けたい」と述べた。

国際的な紛争に対応するため、研修や人的交流を充実させることや、来年で10年目を迎える裁判員制度の検証を進める考えも示した。

大谷氏の後任の深山氏は法務省勤務が長く、「法律を見る視点が豊富になった。法律を作る側の経験を生かしたい」と述べた。

9日付で就任した弁護士出身の宮崎裕子氏(66)は最高裁判事で初めて旧姓を使用する。

女性の最高裁判事は6人目。

就任会見で「弁護士として使ってきた名前を、判事としても使い続けるのは当然。価値観は多様化しており、可能な限り、選択肢を用意することが大切だ」と語った。

父も裁判官で「資格がなければ、女性は就職しづらい」と高校生のころから裁判官を志した。

東大を卒業した1976年に司法試験に合格。

司法修習時代に現在の夫と出会い、結婚することを決めた。

裁判官は転勤が多いため「別居したくない」と、弁護士へ進路を変更。

旧姓で弁護士登録をしてから、婚姻を届け出た。

大学生のころに聞いた女性の先輩の苦労話が理由だ。

「旧姓で書いた論文が結婚後、(改姓したら)自分の研究成果と評価されず、研究機関に採用されなかった」。

旧姓を使い続けることはその時から決めていた。

だが、法律上と職業上の姓が違うため、海外のホテルで宿泊を拒まれた経験もある。

「男女の肉体的な違いは認めるべきだが、違いがない部分では公平に働ける環境作りが重要。抜本的に変わってほしい」。

最高裁の裁判官15人のうち女性は3人。

「法曹人口に占める女性の割合はもっと多いはず。最高裁の女性判事の割合も上げていく方がいい」と話した。

同じ弁護士出身で1日付で定年を迎えた木内道祥氏(70)の後任。

日本弁護士連合会が最高裁に推薦した9人のうちの1人だった。」




女性側からの訴えに対して、夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲と判断した平成27年12月26日の最高裁判決では、3人の女性裁判官全員を含む5人の裁判官は違憲、残り10人の男性裁判官は合憲。

今回は、男性側からの訴えですが、だからと言って、結論は変わるのでしょうか。

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2018年01月10日

最高裁「裁判の電子化」調査へ 国際競争の遅れに危機感


以下は、朝日新聞デジタル(2018年1月9日)からの引用です。

「現在書面で行われている民事裁判で、電子データやインターネットの活用が進むよう、最高裁は2018年度当初予算案に初めて約4900万円の調査費を盛り込んだ。諸外国に後れを取る「裁判の電子化」を進める方向で調査する。企業の経済活動を円滑化するほか、一般の人にも手続き期間が短縮されたり、簡略化されたりする利点がある。

訴状などの裁判書類は民事訴訟法で、原則「書面」で提出する、と定められている。最高裁は18年度、裁判手続きの電子化で、どのような効果が得られるかを本格的に調査。裁判書類に多く含まれる個人情報の流出や拡散を防ぐセキュリティー対策も調べるという。

最高裁は04年7月から約4年半、札幌地裁で法廷期日の変更や証人尋問の申し立てなどをネットで行えるよう試行。06年9月には東京地裁管内の簡裁で、借金の借り手に返済を命じる「督促手続き」をネットでできるようにし、全国にも広げてきた。

それでも、諸外国に比べ、立ち遅れは否めない。日本政府のまとめなどによると、米国は1990年代から州ごとに裁判手続きを電子化。シンガポールは00年から訴状の電子申請を義務付けた。韓国も11年に全民事裁判のやりとりを電子化し、原則、紙か電子データかを選べるという。

政府は現状のままでは国際競争に立ち遅れる、と危機感を抱く。企業活動のしやすさを示す世界銀行の「ビジネス環境ランキング」で日本はOECD加盟35カ国中24位(18年版)。特に「裁判手続き」は18点満点の7・5点、「裁判の自動化」は1点(4点満点)にとどまる。

国内外の裁判の電子化に詳しい桐蔭横浜大学法学部の笠原毅彦教授(法情報学)は「日本で最も電子化が進んでいないのが司法の分野で、他の先進国から20年近く遅れている。書面でやり取りしている部分は電子化し、口頭弁論を充実させることが大切だ」と指摘。日本弁護士連合会ITプロジェクトチームの宮内宏弁護士は「裁判所はこれまで、紙中心の手続きにこだわってきた。電子化で裁判を使いやすくするためには、広く国民を交えた議論が必要だ」と話している。

世界銀行のビジネス環境ランキング2018
@ニュージーランド(1)
Aデンマーク(2)
B韓国(3)
C米国(6)
D英国(5)
Eノルウェー(4)
Fスウェーデン(7)
Gエストニア(8)
Hフィンランド(9)
Iオーストラリア(11)
(24)日本(26)
*経済協力開発機構(OECD、35カ国)加盟国の順位。カッコ内は17年版の順位

民事裁判の電子化をめぐる主な動き
2001年 司法制度改革審議会が裁判電子化の検討を提言
2002年 最高裁が電子化に向けた計画策定を表明
2004年 札幌地裁が民事裁判の電子化試行を開始
       裁判手続きの一部電子化を認める改正民事訴訟法が成立
2006年 東京地裁管内の簡裁で、支払い督促事件の電子化開始。10年11月までに全国へ拡大
2017年 政府が新成長戦略「未来投資戦略2017」で、電子化の検討を始め、17年度中に改革方
       針を決めると表明
       裁判電子化に関する政府の有識者会議が発足
2018年度 最高裁が裁判電子化の調査業務を予算計上へ」




裁判手続等のIT化検討会は↓
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/saiban/index.html

2004年7月から約4年半、札幌地裁で法廷期日の変更や証人尋問の申し立てなどをネットで行えるよう試行したのですか。

全然知りませんでした。

現在でも、訴状などの申立書類以外は、FAX提出が認められていますし、例えば、これをPDFファイルにして、電子メールで受送信するようにするとしても、スキャナー機能付きの複合機があるので、特段の面倒はありませんが、特段のメリットも感じません。

せいぜい、期限ギリギリの申立てを、時間外の夜間受付に持参しなくても良い、という程度のことでしょうか。

パソコンやスキャナーを持っていない人にとっては、かえって、電子化は、ハードルを高くするだけのことだと思います。

裁判所にとっても、特段のメリットがあるようには思えません。

結局、紙か電子データかを選べるという辺りで、お茶を濁すことになるのではないでしょうか。

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