2016年03月14日

内部告発者名、市に伝える 京都、通報窓口の弁護士


以下は、京都新聞(2016年03月09日)からの引用です。

「内部告発を受け付ける京都市の公益通報外部窓口の弁護士に通報した男性職員の氏名が、市側に伝えられていたことが8日、分かった。市は、外部窓口に通報した場合に「了承なく、市へ氏名が伝わることはない」と庁内に周知しているが、職員は「市に伝わるとは思っていなかった。事前の確認も事後報告もなかった」と批判している。

2014年度までの5年間で外部窓口に職員が実名で通報した19件のうち、この職員の通報を含む16件の氏名が市に伝わっている。市は、いずれも本人の了承を得ている、としている。

職員や市によると、児童福祉法違反容疑で児童養護施設の施設長が逮捕された事件で、職員は市児童相談所の対応が遅れたことを訴えるため、昨年3月、公益通報外部窓口にメールで通報した。職員は昨年12月、内部記録を持ち出したとして停職3日の懲戒処分を受け、市人事委員会に「公益通報のためだ」と処分取り消しを求める不服申し立てを行った。

職員はその間、市の調査時点で自分が公益通報したことを事前に把握されていたとの疑問を持ち、今年1月、弁護士に問い合わせた。

職員によると、弁護士は伝達を認め、職員の通報メールに「私が通報者だと推認される覚悟はある。市コンプライアンス推進室から私に直接問い合わせていただく方が効率的かとも考えている」と記載していたことを理由に挙げたという。職員は「文面は告発の覚悟を示しただけだ。氏名は市に伝わらないと信じて外部窓口に通報した」と憤る。

公益通報の外部窓口は、京都市が07年10月に設けた。要綱で「(外部窓口から)市へ氏名の報告は要しない」と定め、職員向けにはチラシなどで「通報者の秘密は守られる」「了承なく、市の職員に名前が伝わることは一切ない」と周知している。了承の確認方法の規定はなく、弁護士の判断に任せていた。

取材に対し弁護士は「守秘義務があり、答えられない」と話し、市コンプライアンス推進室は「弁護士から了承を得たと聞いている。問題があるとは考えていない」としている。

<公益通報者保護制度>

食品偽装やリコール隠しといった企業不祥事が、内部からの通報で相次いで明らかになったことから、企業や行政・報道機関への通報者を解雇など不当な扱いから保護し、是正する目的で2006年に公益通報者保護法が施行。京都市をはじめ行政機関は通報窓口を設け、処分権限を持つ事業者に関する外部通報と、職員による内部通報を扱う。

■明確な了承が必要

公益通報制度に詳しい升田純中央大法科大学院教授(民事法)の話

内部告発者の実名を伝えることが、不利益な取り扱いのきっかけになることもある。告発者が明確に了承していない限り、匿名のままにして保護すべきで、あいまいな回答や判断を基に伝えることは許されない。実名の取り扱いについて、告発者と外部窓口で認識が異なること自体が問題であり、公益通報制度の信頼性に関わる。」




続いて、以下は、朝日新聞デジタル(2015年12月5日)からの引用です。

京都市職員「公益通報に使用」 担当外資料持ち出し停職

「担当外の内部資料を無断で複写して外部に持ち出したとして、京都市は4日、市の児童相談所に勤める男性職員(44)を停職3日の懲戒処分とした、と発表した。資料は京都市内にある民間の児童養護施設の施設長(事件当時)が逮捕された児童福祉法違反事件に関するもので、朝日新聞の取材に応じた職員は「資料は公益通報に使った。公益通報者保護法で守られるべきで、処分はおかしい」と話している。

京都市によると、職員は今年1月ごろ、児童相談所内のパソコンに記録されている内部資料を印刷し、外部に無断で持ち出したという。職員はこの資料の担当者ではなかった。

一方、職員の説明によると、持ち出した資料には事件の被害者とされる少女の母親が昨年8月、児相に対して「子どもから『施設長と外泊する』というメールが届いた」と伝えていたことが記されていた。だが、児相が性的虐待とみて調査を始めたのが約4カ月後の昨年12月だったため、職員は今年3月、持ち出した資料に基づいて京都市の公益通報窓口の弁護士に「調査が4カ月間放置された」と知らせた。

半年後の9月、施設長は京都府警に逮捕された。翌10月の市議会で、市議の一人が具体的な情報をもとに当時の児相の対応を追及。市は「少女の個人情報が含まれる資料が流出した」とみて通報した職員を聴取したところ、資料の持ち出しを認めたという。市議への資料提供は否定している。

施設長の逮捕容疑は「昨年8月上旬に少女にみだらな行為をした」とされており、職員は「母親が相談した時点で性的虐待があるとみて調べるべきだった」と指摘する。これに対して、市は「調査を放置した事実はない」としたうえで、仮に放置していたとしても刑事罰に問われる行為ではなく、職員の通報は公益通報者保護法の保護対象にはならない、としている。」

〈公益通報者保護法〉

企業や役所の不祥事を内部告発した人を保護する目的で、2006年4月に施行された。公益通報について、犯罪と刑罰につながる法令違反に関する内部告発としている。通報を理由とした免職や降格、減給などの不利益な扱いをすることも禁じている。通報者に対しては、他人の正当な利益や公共の利益を害さないよう努めるよう求めている。一方で、通報するための情報の入手方法に関する制限は明記されていない。

公益通報に詳しい森岡孝二・関西大名誉教授(企業社会論)の話

内部資料を見て「不正だ」という確信を持ち、通報するのは公益通報として一般的な形だ。今回のケースもそれにあてはまると思われ、処分までするのは疑問だ。公益通報に本来の機能を持たせるため、通報する側が安易に処分を受けることのないように通報制度が運用されていくことが求められる。」




私は、公益通報制度に詳しい弁護士ではありませんが、こちらが、京都市の公益通報制度に関するホームページです↓
http://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000190578.html

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posted by 森越 壮史郎 at 12:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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