2016年01月22日

強姦事件の被告に逆転無罪 再鑑定のDNA型「別人」


以下は、朝日新聞デジタル(2016年1月12日)からの引用です。

「鹿児島市で2012年、女性に性的暴行を加えたとして強姦(ごうかん)罪に問われた男性被告(23)の控訴審判決が12日、福岡高裁宮崎支部であった。岡田信裁判長は、「女性から検出された体液を改めてDNA型鑑定した結果、精子は別人のもので、強姦の事実を認定するに足る証拠はない」と述べ、懲役4年とした一審・鹿児島地裁判決を破棄し、被告を無罪とした。

男性は鹿児島市の路上で12年10月、当時17歳の女性を強姦したとして起訴されたが、「酒に酔っていて記憶がまったくない」と一貫して無罪を主張していた。

鹿児島県警は、女性の胸から検出した唾液(だえき)のような付着物と、体内から検出した精液を鑑定。付着物は男性のDNA型と一致したが、精液から抽出されたDNAは微量で鑑定不能とした。14年2月の一審判決は、付着物のDNA型が一致したことや女性の証言を重視。「精液が検出されたことは男性に暴行されたとする証言を強く裏付けている」と懲役4年(求刑懲役7年)を言い渡した。

控訴審で同支部は、弁護側の請求で体液を再鑑定。その結果、精子のDNAは男性以外のものと判明し、男性は昨年3月に保釈された。検察側も独自に再鑑定を実施したが、鑑定資料を裁判所に無断で使ったなどとして同支部は却下した。

控訴審判決は、鹿児島県警の鑑定について、抽出後に残りのDNA溶液を全て廃棄していたことや、精液を鑑定した記録は「いつどのように記入されたか不明」で、鑑定経過を記したメモも廃棄されていた点を重視し、信用性に疑いがあると判断した。さらに、不適切な操作でDNAが抽出できなくなった可能性や、検出されたDNA型が被告と整合しなかったために事実でない報告をした可能性についても「否定できない」と述べた。女性の証言については「直近の性交の事実についてあえて虚偽を述べて秘匿していたとしか考えられない」として、「それ以外の供述についても信用性を全般に低下させる」と指摘。その上で、「本件を強姦とみるには不自然で、合意を得て性的接触した後にトラブルになり、男性が逃げ出したとみた方が自然」との見方を示した。

検察側の再鑑定に対しても「結果が有利な方向に働く場合に限って証拠請求する意図があったことすらうかがわれる」と批判した。

鹿児島県警のコメント 判決が確定していない段階でのコメントは差し控える。いずれにしても緻密(ちみつ)かつ適正な捜査について引き続き指導していく。

中田和範・福岡高検次席検事のコメント

主張が認められなかったことは遺憾であり、判決内容を十分に精査・検討し、適切に対処したい。

■鑑定技術「著しく稚拙」

実刑判決から一転、無罪。強姦罪に問われた男性に対する判決で、福岡高裁宮崎支部は12日、一審・鹿児島地裁が認めた鹿児島県警の鑑定や強姦されたとする女性の証言の信用性をことごとく否定した。一、二審の判断はなぜ分かれたのか。

県警は、女性の体内から検出された精液からは微量のDNAしか抽出できず、鑑定できないとしていた。一審判決はこの鑑定結果について「信用性に疑いを差し挟む事実は見当たらない」とした。さらに、精液が誰のものか判別できなかったが、女性の証言の信用性は高いと判断。胸からは被告と一致するDNA型が検出されたことなどから、被告の犯行と結論づけた。

一方、福岡高裁宮崎支部は、女性の証言だけでは客観的な裏付けにはならないとして、「足利事件」などでDNA型鑑定を手がけた押田茂実・日本大学名誉教授に精子のDNA型鑑定を依頼。すると「被告とはDNA型が異なる」との結果が出た上、押田氏は証人尋問で「簡単に鑑定できた」と述べた。

二つの異なる鑑定結果のうち、高裁支部が「十分に信用できる」としたのは押田鑑定だった。控訴審判決では、県警の鑑定について@抽出後に残りのDNA溶液を全て廃棄しているA検査記録がいつどのように記入されたか不明B鑑定経過を記載したメモも廃棄された――として信用性を疑問視した。

さらに、「鑑定技術が著しく稚拙で不適切な操作をした結果、DNAが抽出できなくなった可能性や、DNA型が検出されたにもかかわらず被告と整合しなかったことから、事実でない報告をした可能性すら否定できない」と踏み込んだ。

その上で、女性の体内からは被告以外の精子が検出されたことから、「事件直近に性交渉はなかった」とする女性の証言は信用できないと指摘。「そのほかの証言についても疑念を抱かせる」と判断した。

判決内容を聞いた鹿児島県警の捜査幹部は「予想よりも厳しい内容。捜査がすべて否定された感じだ」と話した。

元東京高裁判事の門野博弁護士の話

DNA型鑑定は有力な捜査手法であるが、今回の高裁支部判決では鹿児島県警の手法を厳しく批判するとともに、担当技官の鑑定技術や捜査に不利な鑑定結果の「隠匿」の可能性にも言及している。技官の力量や意図次第で都合のいいように置き換えられる危険性まで踏み込んで示唆しており、冤罪(えんざい)を防ぐための重要な指摘を含んだ判決だったと評価できる。」




@女性の体内の精液は誰のものかわからない+A女性の胸の付着物は被告人の唾液+B女性は被告人以外とは性交渉していないと言っている=被告人は強姦犯、という図式でしたが、@が崩れたのでBも信用性なしということですね。

それにしても、「DNA型が検出されたにもかかわらず被告と整合しなかったことから、事実でない報告をした可能性すら否定できない」ですか。

上告理由は極めて限られていますし、恥の上塗りになりますので、検察庁が上告することはないでしょうね。

ところで、男性がどの程度の量のお酒を飲んでいたか、警察は充分な裏付捜査をしていたと思うのですが、酩酊状態で、そもそも事を致すことができたのかというのは、この男性の年齢だと、争点にはならないのでしょうかね。

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posted by 森越 壮史郎 at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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