2015年10月28日

強姦一転無罪へ、なぜ私は冤罪に 72歳が国を提訴へ


以下は、朝日新聞デジタル(2015年10月15日)からの引用です。

「10代女性への強姦(ごうかん)罪などで服役中に被害証言はうそと判明し、裁判のやり直しになった大阪府内の男性(72)が冤罪(えんざい)を見逃した責任は警察と検察、裁判所にあるとして、国と府に賠償を求める訴えを近く大阪地裁に起こす。逮捕から7年、男性は16日の再審判決でようやく無罪になる見通しだ。しかし、刑事司法のどこにどんな誤りがあったのかを正さなければ、この事件は終われないと思い定める。

男性は2004年と08年、当時10代の女性に自宅で性的暴行を加えたとする強制わいせつ1件と強姦2件の罪に問われた。09年の大阪地裁判決で「醜悪極まりなく、齢(よわい)六十を超えた者の振る舞いとも思えぬ所業」とされ、懲役12年に。最高裁が11年に上告を退けて確定し、服役した。

だが昨年9月、弁護人が女性から「被害はうそ」と告白を受けて再審請求。大阪地検は当時の診療記録に「性的被害の痕跡はない」と書かれていたのを確認し、11月に男性を釈放した。今年8月に地裁で始まった再審公判で、検察側は「虚偽を見抜けず服役を余儀なくさせた」と謝罪し、自ら無罪判決を求めた。

男性は今回起こす国家賠償請求訴訟で、自宅に第三者がいる状況で被害を受けたとする女性の証言の不自然さや、自身の疾病で性行為は難しいといった説明が捜査段階の取り調べで考慮されなかったと主張する。

さらに公判段階でも、冤罪を裏付ける証拠となった診療記録の取り寄せを弁護人が控訴後に求めたのに、検察は安易に「存在しない」と回答したと指摘。二審・大阪高裁も、当時の受診状況を確認するために求めた女性と母親への証人尋問を認めず、一審の一方的な判断を漫然と支持したと批判。予断を持たずに捜査と審理を尽くしていれば、冤罪は防げたと訴える。

弁護人の後藤貞人(さだと)弁護士は「性犯罪の被害者の証言を疑えということではない。真実を見抜く力など誰にもないからこそ、無実の訴えがあれば、できる限り調べるのが捜査機関や裁判所の務めだ」と指摘。「なぜ、それが尽くされなかったのか。訴訟で問題点を探り出し、冤罪防止につなげたい」と話す。

■「刑事も検事も取り合ってくれなかった」

男性は今月1日、朝日新聞の単独インタビューに初めて応じ、提訴を決めた心境を語った。

「無実の人間にどれだけの被害を与えたか。警察官、検察官、そして裁判官にもわかってほしい」

08年9月、大阪府警の刑事ら3人が突然、自宅にやって来た。その場で逮捕されて警察署へ。10代女性への性的暴行の容疑がかけられていると初めて知った。「まったく理解できなかった」

警察の取り調べに否認を続けた。男性刑事の言葉は「やったやろ」「覚えてないなら教えたるわ」と次第に荒っぽくなったという。検察の取り調べでは、被害証言の矛盾を訴えた。しかし、女性検事は「絶対許さない」と一切取り合ってくれなかったという。

無罪主張は三審に及ぶ裁判でも退けられ、服役を余儀なくされた。月1回、大阪から大分刑務所(大分市)へ面会に来てくれる妻だけが心の支えだった。

懲役12年。その途中、6年2カ月の不当な拘束を経て自由の身になった後も苦しみは続いた。生涯の仕事として25年間勤めた電気設備会社に復職を求めたが、拒まれた。近所で知り合いに会っても、どこかよそよそしい空気を感じる。

16日の再審判決で無罪が言い渡されても、その思いは晴れない。名誉は完全に回復できず、失った時間も取り戻せないからだ。「せめて国賠訴訟で冤罪の原因を突き止めたい。二度と同じような思いをする人が出ないように」と願う。

■強姦再審事件の経過

2008年9月 大阪府警が10代女性の告訴を受け、男性を強制わいせつ容疑で逮捕。大阪地検は同罪で起訴

11月 地検、同じ女性への強姦罪2件で追起訴

09年5月 大阪地裁、懲役12年の判決

10年7月 大阪高裁、男性側の控訴棄却判決

11年4月 最高裁、男性側の上告棄却決定

14年9月 男性の弁護人が女性から「被害はうそ」と告白を受け、地裁に再審請求

11月 女性に「性的被害の痕跡なし」とする診療記録があったとして、地検が服役中の男性を釈放

15年2月 地裁が再審開始決定

8月 再審初公判で検察が謝罪、無罪判決求める

10月16日 再審判決で無罪の見通し」




続いて、以下は、同じく朝日新聞デジタル(2015年10月17日)からの引用です。

強姦事件再審、男性に無罪判決 地裁「自由を奪い残念」

「10代だった女性への強姦(ごうかん)罪などで懲役12年とされて服役中、被害証言がうそと判明して釈放された大阪府内の男性(72)のやり直し裁判(再審)で、大阪地裁は16日、男性に無罪判決を言い渡した。芦高源(あしたか・みなもと)裁判長は「身に覚えのない罪で自由を奪い、誠に残念」と述べた。再審で無罪判決を求め、男性に謝罪した大阪地検は上訴権の放棄を即日申し立て、控訴期限を待たず無罪が確定した。

芦高裁判長は、2004年と08年に男性から自宅で強制わいせつと強姦の被害を受けたとしていた女性が昨年になって「被害はうそ」と弁護人に告白した▽地検の再捜査で見つかった当時の診療記録にも「性的被害の痕跡はない」との記載があった――という二つの新証拠を踏まえ、無罪の判断を導いた。

そのうえで、捜査・公判段階での女性の供述内容を改めて検討。隣室に家族がいる中で被害に遭ったとしたり、被害を受けたとする時期が大きく変遷したりするなど当初から不自然な点があったと述べた。

今回の再審で弁護側は、捜査段階から最高裁に至るまで一貫して冤罪(えんざい)が見過ごされた原因を解明するため、取り調べた検事らの証人尋問を求めたが、芦高裁判長は退けていた。

判決後、大阪地検の北川健太郎次席検事は「当時の証拠関係からすれば起訴相当の事案だった。結果として無罪となるべき事件を起訴したことは遺憾。十分な証拠の収集・把握に努め、基本に忠実な捜査を徹底したい」との談話を出した。

■「残念では済まされない」

「計り知れない苦痛を与え、再審公判を担当した裁判官として誠に残念に思います」。判決理由を読み終えた芦高裁判長が法壇から告げると、弁護人席で聴いていた男性は一瞬目を伏せ、唇をかみしめた。

判決後、男性は会見で不満をあらわにした。「残念で済まされたら、また同じことが起きる。率直な謝罪があると思っていた」

昨年9月の再審請求後に無実を示す診療記録が見つかり、釈放されるまで6年以上拘束された。再審公判は冤罪の原因や背景の解明に踏み込まずじまい。近く国家賠償請求訴訟を起こし、捜査・公判の問題点を追及する。この経験を冤罪防止につなげたいと願う。

苦しかった刑務所での暮らしは思い出したくない。失われた時間を惜しむより、前を向いて進みたいと思う。「また働きたい。そして、みんなと仲良く、楽しんで生きたい」」




この事件↓の続報ですね。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/424709020.html

当の本人の女性に対する損害賠償請求は、行わないのでしょうか。

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posted by 森越 壮史郎 at 12:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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