2015年06月10日

GPS捜査:「令状なしは違法」大阪地裁が証拠却下


以下は、毎日新聞(2015年06月05日)からの引用です。

「大阪府警が窃盗事件の容疑者の行動を確認するため、裁判所の令状なしに車両にGPS(全地球測位システム)の発信器を付けて得た証拠について、大阪地裁(長瀬敬昭裁判長)は5日の公判で、「車両使用者のプライバシーを大きく侵害するもので、(令状が必要な)強制処分に当たる」として違法と判断、証拠採用しない決定をした。

GPS捜査を違法とする司法の判断は初めてとみられる。

GPS捜査を巡っては、刑事訴訟法には規定がないため、各地の警察は、警察庁が2006年に基準を定めた内規を運用している。

今回の地裁判断は、今後の捜査に影響を与える可能性もある。

大阪地裁では今年1月、別の裁判長が同じ窃盗事件の別の被告に対するGPS捜査について適法としており、判断が分かれた。

今回は、窃盗や建造物侵入などの罪に問われた大阪府門真市の無職、岩切勝志被告(43)の公判。2012年2月〜13年10月、他の3人と共謀するなどし、郵便局で収入印紙を盗んだなどとして、計10件の罪で起訴された。

公判ですべての起訴内容を認めている。

決定によると、府警は13年5〜12月、捜査のため、被告らの車やバイク計19台にGPSの発信器を無断で取り付けた。

GPS端末は黒いケースに入れて車の下部などに磁石で取り付けられていた。

捜査員が携帯電話で接続すると、画面上におおまかな所在地が表示された。

電波が良好なら、誤差は数十メートルにとどまった。

捜査員はこれを見て、被告らの行動を確認していた。

長瀬裁判長は、このGPS捜査について、目視のみの捜査とは異質で、任意捜査と結論づけられるものではなく、「対象者のプライバシーを大きく侵害し、強制処分に当たる」と指摘。

令状なしに実施した場合は違法と判断した。

また、広域窃盗事件を対象にした今回の捜査内容に照らすと、「GPS捜査について相当程度、令状が発付された可能性が十分にあったのに、これを怠った。警察官の令状主義軽視のあらわれだ」と厳しく批判した。

そのうえで、長瀬裁判長は、検察側が証拠提出した捜査報告書について、証拠能力を否定した。

判決は7月10日。

GPS捜査を巡っては、被告と共謀したとされる男(36)の公判で、別の裁判長は1月、「尾行のための補助手段としてGPSを使い、位置情報も記録として蓄積していない」とし、プライバシー侵害の程度は大きくないと指摘、適法と判断した。

GPSで得た資料を証拠として採用し、3月の判決では男に懲役4年(求刑・懲役5年)の実刑を言い渡した。

警察庁幹部は5日「まだ地裁の決定内容を聞いていない。法律論であり、具体的にどういう理由で(証拠)採用されなかったかを精査しないとコメントできない」と話した。

一方、亀石倫子・主任弁護人は「捜査権限の乱用によってプライバシーが危機にさらされている現状に歯止めをかける大変画期的な判断だ。今後、GPSを利用する捜査手法は、司法による審査を通じて慎重に運用されなければならない」とコメントした。

◇元東京高裁判事の木谷明弁護士の話

令状なしで行動を常時監視するのはプライバシーの侵害と言え、大阪地裁の今回の決定は常識的だ。

社会が複雑化し、刑事訴訟法に規定がなくても実務上必要な捜査については、解釈で対応せざるを得ないこともある。

GPSを利用した捜査がどうしても必要であれば、その必要性を主張して裁判所の令状を得る努力をするべきだ。

もし解釈の限界を超えるということであれば、法改正も視野に入れなければならない。

◇土本武司・筑波大名誉教授(刑事法)の話

GPSを使えば、自宅など私的な場所でも容疑者らの監視が可能になる以上、裁判所の令状が必要との判断は理解できる。

警察や検察にとっては有効な捜査手法であり、ドローンと同様に新しい捜査手法について法律による対応が必要だ。

令状を必要とするならば、容疑者らを逃亡させないよう、深夜や緊急時にも速やかに裁判所の令状が出るような体制や運用を検討すべきだ。」




適法と判断した大阪地裁の決定は↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/413207867.html

やはり、今回の決定の方が、常識的ではないでしょうか。

ただ、覚せい剤の使用の場合には、採尿手続に令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、決定的な証拠である採尿結果の鑑定書を証拠として採用できなければ、無罪となります↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/254493707.html

しかし、本件の場合、どこまで採用しなかったのか良く分かりませんが、被告人がすべての起訴内容を認めているとのことですので、検察側が証拠提出した捜査報告書を採用しなくても、それ以外にも補強証拠があるのであれば、有罪の結果は変わりません。

検察側としては、適法と判断されたので、証拠として提出しただけの話で、違法というのであれば、提出しないだけの話のように思います。

そうならないためには、端緒が違法であれば、全部違法で全部証拠採用せず、ということにしなければ、意味がない訳ですが…。

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posted by 森越 壮史郎 at 12:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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