2015年03月09日

最高裁大法廷が判例変更「労災の遺族補償年金は、損害額の『元本』から差し引くべき」


以下は、弁護士ドットコムニュース(2015年03月04日)からの引用です。

労災をめぐる損害賠償事件で、先に遺族補償年金が支払われた場合、その分は損害額の「元本」から差し引くべきか、あるいは「利息(遅延損害金)」から差し引くべきか。

そのような論点について、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は3月4日、過去の最高裁の判例を変更して、「元本から差し引くべき」という判断を示した。


この訴訟では、過労による精神障害が原因で2006年に死亡し、労災認定された男性の遺族が、会社に損害賠償などを求めていた。

安全配慮義務を怠った会社側が損害賠償を支払うことについては、2審までに確定していたが、支払額について争いがあった。


男性の遺族はすでに「遺族補償年金」を受け取っているため、損害賠償の支払額を計算するにあたっては、遺族補償年金の分を差し引く必要がある。

裁判で問題となったのは、損害額の「元本」から差し引くのか、それとも「利息(遅延損害金)」から差し引くかだ。

どちらから差し引くかによって、支払額が変わってくるのだ。

最高裁大法廷は「遺族補償年金は、同性質で相互補完性がある元本との間で、損益相殺的な調整を行うべきだ」として、利息から差し引くことを認めた2004年の最高裁第2小法廷判決を「変更すべき」とした。

元本から差し引くほうが、損害賠償の支払額が少なくなり、被害者(労働者)にとっては不利になる。

男性側代理人の川人博弁護士によると、今回のケースでは約200万円の差があったという。


●最高裁の判断が分かれていた

この論点については、2004年の最高裁第2小法廷判決が「利息から差し引く」としたのに対して、2010年9月・10月に出された2件の最高裁小法廷判決は「元本から差し引く」としていた。

そのため、下級審でも判断が分かれており、今回の裁判でも1審は利息充当、2審は元本充当の判断を下していた。


川人弁護士は判決後の記者会見で「主張が受け入れられなかったのは残念だ。今回の最高裁判決は、抽象的な言葉が並んでいるだけで、実質的な判断が読み取れない。被害者救済よりも実務の効率性を重視したのではないか」と話していた。」




早速、裁判所のホームページに掲載されています↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84909

平成16年12月20日の第2小法廷判決は↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62604

平成22年9月13日の第1小法廷判決は↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=80672

平成22年10月15日第2小法廷判決は↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=80762

本来であれば、平成22年判決の時点で、平成16年判決を変更することになるので、大法廷で判断すべきだったのですが、平成16年判決の判断は傍論だったので、見過ごしていたのでしょうね。

平成16年判決が判示するように、不法行為による損害賠償債務は、本件事故の日に発生し、かつ、何らの催告を要することなく、遅滞に陥っていることになっているのですから(最高裁昭和37年9月4日第3小法廷判決)、民法491条1項の弁済充当の定めに従い、支払時における損害金の元本及び遅延損害金の全部を消滅させるに足りないときは、遅延損害金の支払債務にまず充当されるべきであるという判断の方が、論理的なように思います。

しかも、将来にわたる逸失利益を、現時点で全部支払って貰うのだからと、中間利息を控除されることとの均衡からしても、むしろ、平成16年判決の方が、妥当なように思います。

計算が面倒だというのであれば、我々弁護士が、幾らでも計算致しますが、大法廷判決ですので、仕方がありません。

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posted by 森越 壮史郎 at 18:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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