2014年04月08日

ハズレ馬券は経費か? 競馬利益に巨額課税、各地で訴訟


以下は、朝日新聞デジタル(2014年4月7日)からの引用です。

■4億円超の申告漏れ、国税が指摘

競馬で計約78億円の払戻金を受けた北海道の公務員男性(41)が、馬券の購入費計約73億円分を差し引いた約5億7千万円を競馬の所得として申告したところ、札幌国税局から4億円以上の申告漏れを指摘されたことが分かった。

はずれ馬券の購入費が経費と認められなかったため。

この結果、男性が納めるべき税金の総額は競馬の利益を上回ることになり、これを不服として東京地裁に提訴した。

日本中央競馬会(JRA)は2002年、大量の馬券をパソコンや携帯電話で手軽に購入できるシステムを導入。

男性はこれを利用し、役所が休みの土日はテレビの競馬中継を欠かさず見て、JRAに登録された8千頭の馬の能力や騎手の技術を独自に分析、ネットで年間2千回以上馬券を購入した。

課税対象となった05〜10年の6年間で、計約72億7千万円の馬券を買って計約78億4千万円の払い戻しを受け、差し引き約5億7千万円の利益を得た。

男性が競馬の利益を申告しなかったため、札幌国税局は税務調査を実施。

これを受け男性は11年、はずれ馬券も経費に算入し、6年間の競馬の所得を約5億7千万円、所得税額を約2億1千万円と申告した。

年間を通して損益を合算できる所得税法上の「雑所得」との見解だ。

これに対し、国税局は所得税の基本通達に従って、競馬の払戻金を「一時所得」と認定。

認められる経費は「収入を得るために直接かかった金額」のみで、競馬の利益から差し引けるのは当たり馬券だけと指摘した。

ただ、男性の場合は馬券の購入履歴を保存しておらず一定期間で消えてしまうため、国税局は馬券用の銀行口座を週単位で計算して推計。

払戻金が購入費を上回った週は、男性の主張通り購入費全額を経費に認めたが、下回った週は払戻金と同額分しか経費と認めず、競馬の所得を約9億8千万円と認定した。

その結果、男性が納めるべき税金は所得税約3億7千万円のほか、加算税や延滞税、市民税を含めると5億7千万円を若干超え、競馬の利益を上回った。

国税当局の指摘通り、払戻金ごとに一時所得として課税された場合、例えば、100通りの馬券(1枚100円)を計1万円購入し、1枚で3万円が当たっても、経費には当たり馬券の100円しか認められない。

はずれ馬券はいくら購入していても認められない。

裁判で男性は「一時所得の課税が正確になされていれば、課税額は数十億円にのぼり、一生かけても払えない。はずれ馬券を経費に認めないと、継続的な馬券購入者は損をしたのに課税されたり、利益があってもそれ以上に課税されたりしてしまう」と主張している。

男性は取材に、弁護士を通じて「裁判で争っている最中なのでコメントは控えたい」としている。

■偶発的か継続的か…所得の主張に違い

はずれ馬券は経費にあたるのかどうか――。

競馬の利益を「一時所得」と認定する国税当局と、「雑所得」などと主張する馬券のネット購入者側との争いには、所得をいかに得たかという考え方の違いがある。

所得税法で、個人の所得は給与所得や事業所得など10種類。

一時所得は「営利を目的とした継続的行為でなく、偶発的な所得」で、所得のほぼ半額が課税対象となる。

懸賞の賞金などで、40年以上前の国税庁通達で馬券の払戻金も加えられた。

これらは、直接かかった費用のみ経費として認められる。

一方、雑所得は給与所得や事業所得など、他の9所得に該当しない個人の所得とされ、年間を通して他の雑所得と損益を合算できる。

東京地裁の裁判で、男性は過去6年間、競馬で黒字だったと説明。

自らの馬券購入を「偶発的でなく継続性があり、投機的行為に近い」として外国為替証拠金取引(FX)などと同じ雑所得だと訴えた。

その場合、はずれ馬券も経費となるという主張だ。

■ネットが6割

インターネットによる馬券購入は払戻金が銀行口座に振り込まれ、窓口で買う場合と違い、国税当局は購入者と払戻金を特定できるようになった。

一方で多額の課税は、各地で裁判にもなっている。

3年間で約1億4千万円の利益を得た大阪市の元会社員(40)は、その4倍にあたる約5億7千万円を脱税したとして所得税法違反の罪で起訴された。

有罪になったものの、大阪地裁ははずれ馬券を経費と認め、脱税額を5億円以上も減額。

検察が控訴している。

横浜市の40代男性は、2年間で約1200万円の利益を得た。

「競馬が仕事」だとして事業所得で申告したが、東京国税局は「一時所得」として約516万円を追徴課税。

男性は2月に横浜地裁に提訴した。

JRAによると、ネットの馬券購入者は約300万人で、購入額は昨年度の売り上げ約2兆4千億円の6割を占める。

税務訴訟に詳しい三木義一・青山学院大教授は「ネットで大量の馬券を継続的に購入する人たちに、昔の通達を使って課税するのは無理がある。時代に合った課税方法に見直すべきだ」と指摘する。

一方、国税当局は競馬の払戻金を雑所得にすると、競馬の赤字で他の雑所得の黒字を消してしまう可能性があるため、一時所得の課税を続ける方針とみられる。

国税庁は12年、JRAが払戻金から源泉徴収する税制改正を財務省に要望したが、採用されていない。」




所得税法違反の罪で起訴された事件は↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/304699509.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/319920407.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/364025986.html

この刑事事件では、雑所得で、はずれ馬券を含めて全て必要経費と認定された訳ですが、地裁判決に過ぎませんし、検察側が控訴していますので、国税当局としては、飽くまで通達に従うということなのですね。

何で国税当局に捕捉されるのだろうか、密告だろうかと思っていましたが、払戻金の支払が銀行振込だからなのですね。

銀行にしても、JRAにしても、国税当局には、あっさり情報を開示するから、ということなのですね。

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posted by 森越 壮史郎 at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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