2013年12月03日

出生時取り違え…中学出て働き60歳 「本来は裕福な家」 病院に賠償命令


以下は、朝日新聞デジタル(2013年11月27日)からの引用です。

「60年前に別の新生児と取り違えられ、貧困を強いられたなどとして、東京都の男性(60)らが病院を運営する社会福祉法人・賛育会(墨田区)に損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。

宮坂昌利裁判長は「男性の本来の家庭は裕福だったのに、高等教育を受ける機会を失わせて精神的な苦痛を与えた」と認定。

計3800万円の支払いを同会に命じた。

判決によると、男性は1953年3月に同区の「賛育会病院」で出生。

この病院で13分後に生まれた子と取り違えられ、別の夫婦の実子として育てられた。

男性の戸籍上の父親は55年に死去。

生活保護を受け、兄2人とともに母親に女手一つで育てられながら中学を卒業し、町工場に就職した。

働きながら定時制の工業高校を卒業し、今はトラック運転手をしている。

一方、男性の実の両親(いずれも故人)は経済的にゆとりがあり、誤って引き取られた子も含めて、兄弟計4人はいずれも私立高校から大学に進学した。

判決はまず、DNA型鑑定から病院で取り違えがあったと指摘。

「家庭環境だけで必然的に学歴が決まるわけではない」としながら、およそ大学進学を望めない環境が精神的な苦痛を与えたと認めた。

約59年間、肉親との交流を一切持てなかったことも考慮し、男性が受け取るべき慰謝料は3200万円とした。

また、男性の実の両親は「生前に取り違えを認識していなかったとしても、実の子と生活する機会を永遠に奪われた」と指摘。

相続分として、男性の実の弟3人に計600万円を支払うよう病院側に命じた。

DNA型鑑定で、弟3人と「兄」との血縁関係がないと判明したのは2009年1月。

顔が似ていないうえ、母親が生前、「連れてこられた新生児は、用意していたのとは違う産着を着せられていた」と話しており、3人は疑うようになった。

3人はその後、病院の分娩(ぶんべん)台帳の証拠保全を東京地裁に申し立てて認められ、実の兄を捜し出した。

男性は判決後に「訴えが認められて安心した」と話したという。

賛育会は「現時点ではコメントできない」としている。」




慰謝料だけで、取り違えられた本人分が3200万円、両親分とし600万円とは、交通事故↓などの一般的な損害賠償制度の枠組みからすると、かなり高額ですね。
http://morikoshi-law.com/koutuujiko.html

交通事故の場合、死亡慰謝料ですら、2000〜2800万円程度が1つの目安とされていますので。

取り違えによる逸失利益(得られなかった利益)を認定することに躊躇を憶えたので、全体として、慰謝料で斟酌したということのようですが、実の両親に育てられた子供達は、全員大学に進学しているのですから、大卒の平均賃金と、本人の実際の賃金との差額を、逸失利益として認定しても良かったのではないでしょうか。

「大学に進学した」とは指摘しているものの、「大学を卒業後就職した」とは指摘していないので、まともに就職していないかのも知れませんが、それでもなお、逸失利益を認めることは別におかしな話ではないと思いますし、慰謝料に加えて逸失利益を認めたとしても、取り戻すことのできない60年、そして戸籍上の両親との親子関係不存在確認、実の両親との親子関係確認、そして恐らく更には相続問題等々、諸々の代償としては、決して高額ではないと思います。

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posted by 森越 壮史郎 at 12:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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