2013年09月10日

HIV感染知りつつ300人と関係、終身刑の可能性も 米


以下は、CNN.co.jp(2013.09.06)からの引用です。

「米ミズーリ州で、自分がエイズウイルス(HIV)に感染していると知りながら性的関係を持ち、300人以上を感染の危険にさらしたとして男が訴追され、5日に同州ストッダード郡の裁判所に出廷した。

検察によると、訴追されたのはデビッド・マンガム容疑者(36)。

調べによると、マンガム容疑者は2003年にHIV陽性と診断されたにもかかわらず、その後もインターネットや公園などで出会った相手と無防備な性的関係を持ち続けていた。

マンガム容疑者は調べに対し、パートナーのうち50〜60人はスタダード郡に住んでいると供述。

しかしほとんどの場合、相手のことはファーストネームしか知らないと話しているといい、相手を探し出して感染の危険を告知するには困難が予想される。

逮捕のきっかけとなったのは、元パートナーの男性がマンガム容疑者にうそをつかれたとして警察に届け出たことだった。

警察によると、この男性は検査の結果、HIV陽性と診断された。

裁判所はマンガム容疑者の保釈金を25万ドル(約2500万円)に設定した。

ミズーリ州の州法は、相手の同意なくHIV感染の危険にさらす行為を重罪として扱い、15年以下の禁錮を定めている。

相手を実際に感染させた場合は終身刑を言い渡される可能性がある。」




我が国では、相手の同意なくHIV感染の危険にさらす行為を重罪として処罰する法律というのは、聞いたことがありません。

ただ、最高裁昭和27年6月6日判決↓は、「傷害罪は他人の身体の生理的機能を毀損するものである以上、その手段が何であるかを問わないのであり、本件のごとく暴行によらずに病毒を他人に感染させる場合にも成立する」と判示していますので、現実にHIVに感染させれば、傷害罪となります。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54383&hanreiKbn=02

廃止となっている「性病予防法」においては、「伝染の虞がある性病にかかっている者が、性交、授乳その他病毒を感染させる虞が著しい行為をしたときは、これを1年以下の懲役又は5千円以下の罰金に処する。」(28条1項)という罰則規定がありました。

しかし、同じく廃止となっている「後天性免疫不全症候群の予防関する法律(エイズ予防法)」には、このような罰則規定は見当たりませんし、現行の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」でも、同様です。

となると、現実に感染させない限り、処罰の対象にはならないのでしょうか。

性的関係自体を、「人の身体に向けられた有形力の行使」と捉えて、暴行罪が適用できないものかとも思いますが(真意に基づかない同意)、上記最高裁判決によれば、性的関係は「暴行によらずに」ということなので、これを前提とする限りは、無理のようですね。

札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ
posted by 森越 壮史郎 at 12:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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