2012年12月23日

2ちゃんねる覚醒剤広告:削除放置 元管理人を書類送検


以下は、毎日jp(2012年12月20日)からの引用です。

「インターネット掲示板「2ちゃんねる」に覚醒剤の広告が投稿された事件で、警視庁は20日、2ちゃんねるの元管理人の男性(36)を麻薬特例法違反(あおり、唆し)ほう助の疑いで書類送検した。

送検容疑は掲示板が覚醒剤販売に利用されていると知りながら、昨年5月、50代の無職の男が売買を持ちかけた投稿を削除しなかったとしている。

警視庁は昨年11月以降、元管理人の自宅や関係会社など約10カ所を家宅捜索していた。

2ちゃんねるは1999年に元管理人が開設した国内最大規模の掲示板サイト。

男性は2009年にシンガポールの会社に譲渡し、管理人を辞めたとブログで明らかにしている。」




続いて、以下は、MSN産経ニュース(2012.5.18)からの引用です。

2ちゃん開設者、違法情報放置で反論 依頼2通「削除した」

「インターネット掲示板「2ちゃんねる」が違法情報約5千件を削除せずに放置していたとされる問題で、開設者の西村博之氏が「警察からの削除依頼は2通で、削除している」などと、ブログに反論を掲載していたことが17日、分かった。

警察庁は今月10日、2ちゃんねるが平成23年中、同庁と財団法人が運営する「インターネット・ホットラインセンター」(IHC)の削除要請計5068件を放置したと発表。

西村氏は「警察から送られたeメールの削除依頼は2通」「2通に関する書き込みは、削除済みです」と主張、IHCからのメールも認めたが、「財団法人が情報を違法と決めることは出来ません」などとした。

警察庁は「IHCは有識者らの意見を踏まえて決めたガイドラインに沿って適切に削除を要請している。判断は最終的にサイト管理者に委ねられているが、要請があった場合は削除してほしい」とコメントした。」



更に、以下は、毎日jp(2012年12月21日)からの引用です。

2ちゃんねる書類送検:刑事責任追及に慎重論も

「インターネット掲示板「2ちゃんねる」に覚醒剤の売買をもちかける書き込みを放置したとして、警視庁は20日、2ちゃんねるの元管理人の男性(36)を麻薬特例法違反(あおり、唆し)ほう助の疑いで書類送検した。

掲示板の違法な投稿を巡って管理人が立件されるのは異例。

2ちゃんねるに対する警視庁の捜査の背景には、投稿に絡む薬物犯罪の多発がある。

警察当局によると、10〜11年、2ちゃんねるへの投稿をきっかけとする薬物密売などの事件検挙は11件。

神奈川県警などが摘発したグループは延べ4500人から1億円以上を売り上げ、インターネットを利用した密売事件としては過去最大規模だった。

警視庁は、昨年11月以降、関係先など10カ所を家宅捜索するなど運営実態を捜査。

(1)問題のある投稿の削除を受け持つボランティアが、削除の可否に関する判断を元管理人に求めている(2)収益の一部を元管理人が得ている(3)元管理人が譲渡先としているシンガポールの会社はペーパーカンパニーである−−などの状況が判明し、元管理人が現在も運営の決定権をもつと判断した。

しかし、元管理人の刑事責任を問うことには慎重論も強い。

捜査関係者によると「薬、違法」の掲示板には、昨年5月に無職の男が広告を投稿した時点で約9800件の違法情報が放置されていたが、全投稿に占める比率は約6%。

800以上の掲示板の集合体である2ちゃんねる全体でみると、比率はさらに低くなる。

IHCの削除依頼に限界があるとの指摘もある。

園田寿・甲南大学法科大学院教授は「掲示板の書き込みを削除する義務が管理人に課されるのは、裁判所から命令を受けた場合などに限られる。法的に削除の義務がない限り、書き込みを放置した管理人の刑事責任を問うのは難しい」と話す。

一方、警視庁が捜査に着手した直後から、2ちゃんねるの自主的な規制で違法情報が大幅に減少した。

昨年12月から半年間の削除依頼は123件で、11月までの半年間に比べて約94%減った。

捜査幹部は「薬物犯罪の抑止という成果につながった」と話す。

堀部政男・一橋大学名誉教授は「ネット上の情報に対する法規制や公権力の介入を最小限に抑えるためにも、掲示板の管理人は、違法情報の排除に社会的な責任をもたなければならない」と話している。」





掲示板に、覚醒剤の売買を持ちかける投稿をする行為が、麻薬特例法違反(あおり、唆し(そそのかし))であり、これを知りながら、投稿を削除しなかった行為が、同法違反の幇助ということです。

麻薬特例法の正式名称は、「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」というのですが、その9条は、「薬物犯罪(前条及びこの条の罪を除く。)、第6条の罪若しくは第7条の罪を実行すること又は規制薬物を濫用することを、公然、あおり、又は唆した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定めています。

刑法62条1項は「正犯を幇助した者は、従犯とする。」、同法63条は「従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。」(必要的軽減)、同法68条3号は、「有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の2分の1を減ずる。」と定めていますが、それでも1年6月の懲役ということはあり得ることになります。

異なる時期の削除要請の無視が認められれば、併合罪(同法45条)で、その1.5倍の2年3月の懲役もあり得るということになります↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/308415386.html

幇助犯というのは、賭博の見張り行為くらいしか立件されない珍しいものだそうですが、削除要請に応じなかった行為が、正犯の行為を容易にする行為であることは明らかですし、ペニーオークション詐欺の場合とは異なり↓、積極的な行為ではないものの、削除要請をしたのに応じなかったということは、少なくとも正犯を幇助する消極的な意思はあったと言わざるを得ないと思いますので、送検された以上は、無罪放免ということにはならないのではないでしょうか。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/308655034.html

削除要請が、警察からか、IHCからかという違いは、違法性の意識の問題なので、残念ながら、余り関係がないように思います。

また、民事上、削除義務を負うか否かは、その書き込みにより権利を侵害される個々人の権利の保護のために必要か否かで判断されるのに対して、麻薬特例法の立法趣旨は、「規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るため」ですので、個人的には、削除義務の有無と刑事責任とを同列に論じることはできないのではないかと思います。

札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ
posted by 森越 壮史郎 at 12:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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