2012年12月07日

札幌・暴行放置:女性死傷、殺人一部否認 心神耗弱を主張--地裁初公判


以下は、毎日jp(2012年12月01日)からの引用です。

「札幌市内で10年8月、女性2人が乗用車にはねられ死傷した事件で、殺人と強姦(ごうかん)致死罪に問われた住所不定、無職、外山硬基(こうき)被告(25)に対する裁判員裁判の初公判が30日、札幌地裁(園原敏彦裁判長)であり、外山被告は「死ぬとは思わなかった」とし、殺人罪について一部否認した。

検察側は冒頭陳述で、最初にはねた女性に抵抗され暴行できなかったため、「死亡させるかもしれないが、構わないと考え、約40キロのスピードではねた」などとして、「未必の故意」による殺人罪を主張。

弁護側は「前夜からワインやシャンパンなどを大量に飲み、判断能力が低下していた」として、心神耗弱を主張した。

起訴状によると、外山被告は10年8月23日午前5時10分ごろ、札幌市中央区の路上で、帰宅途中の女性(当時45歳)を車ではね車内で暴行した後、同市西区の山中に放置して殺害したとされる。

この前に、50代の女性を乗用車ではねて、けがをさせたとされる。」




例えば、敢えて自ら泥酔状態に陥った上で犯行に及んだ場合に、刑が減軽されるのはおかしいので、そのような場合には、刑は減軽されないというのが通説・判例で、最高裁判所も、「酒酔い運転の行為当時に飲酒酩酊により心神耗弱の状態にあったとしても、飲酒の際酒酔い運転の意思が認められる場合には、刑法第39条第2項を適用して刑の減軽をすべきではない。」と判示しています(いわゆる「原因において自由な行為」)↓
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50838&hanreiKbn=02

弁護人も、それを知らない訳はないので、「飲酒の際には、犯行の意思はなく、心神耗弱状態に陥ってから、犯行の意思が生じたので、刑法第39条第2項の適用がある」ということなのでしょうが、それもどうかという気がします。

ちなみに、殺人罪と強姦致死罪に問われていますが、死亡者が2人いるという訳ではありません。

最高裁判所は、「死亡の結果につき故意を有し、暴行を以つて婦女を姦淫し因つて死に致した所為は強姦致死罪および殺人の罪名に触れるものとする。」と判示しています↓
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51472&hanreiKbn=02

強姦致死罪(刑法181条2項)の法定刑は「無期又は5年以上の懲役」と、殺人罪(同法199条)の法定刑である「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」よりも軽いので、強姦致傷罪には、殺意のある場合は含まれておらず、強姦致死罪と殺人罪の観念的競合(同法54条1項前段、1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合)となるとされている訳です。

札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ
posted by 森越 壮史郎 at 12:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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