2012年06月28日

被相続人名義の預金口座の取引経過等の開示


何年も前に公正証書遺言を作成し、私が遺言執行者に指定されていた方がお亡くなりになり、先日、預金等の残高証明書を発行して貰うべく、幾つかの金融機関を回って来ました。

とある金融機関では、当初、「相続人代表選任届」という相続人全員の署名捺印のある文書の提出を求められそうになりましたが、私が公正証書により指定された遺言執行者であること説明すると、当然のことですが、不要ということになりました。

しかし、ということは、遺言執行者が選任されていない場合には、「相続人代表選任届」の提出を求められるということなのでしょうね。

最高裁判所平成21年1月22日判決↓は、「金融機関は、預金契約に基づき、預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負う。」「預金者の共同相続人の一人は、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座の取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる。」とまで判示しているのに、未だにこういうことを言う金融機関があるのですね。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=37210&hanreiKbn=02

D銀行さんに、全然関係のない話のついでに尋ねたところ、D銀行さんでは、この最高裁判決が出たので、相続人の1人だけからの要求にも、応じることにしているとのことでした。

ちなみに、最高裁判所平成16年4月20日判決↓は、「相続財産中に可分債権があるときは、その債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されて各共同相続人の分割単独債権となり、共有関係に立つものではない」と判示しています。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62575&hanreiKbn=02

預金債権も可分債権(分けることができる債権)ですから、相続人各人が、自らの法定相続分につき、預金の払戻手続を行うことができる理屈なのですが、こちらについては、金融機関の実務としては、相続人全員の了解のないまま任意に払戻手続に応じてしまい、トラブルとなることを避けるため、裁判を起こして判決が出ない限り、払戻には応じないようです。

札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ
posted by 森越 壮史郎 at 12:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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