2012年04月06日

覚醒剤密輸で逆転有罪 無罪の裁判員裁判覆す 東京高裁


以下は、MSN産経ニュース(2012.4.4)からの引用です。

「覚醒剤約2.5キロをスーツケースに隠し、密輸したとして覚せい剤取締法違反などの罪に問われた英国籍の地質学者、ソウヤー・ジョフリー・ロバート被告(55)の控訴審判決公判が4日、東京高裁で開かれた。

金谷暁裁判長は「事実認定の方法自体が誤っている」として、被告を無罪とした1審千葉地裁の裁判員裁判判決を破棄、懲役10年、罰金500万円(求刑懲役13年、罰金700万円)の逆転有罪判決を言い渡した。

被告が、スーツケース内に違法薬物が入っていることを認識していたかが争点で、1審は「密輸の認識があったとするには疑いの余地が残る」と判断した。

金谷裁判長は、被告が自動車やパソコンを購入するために来日したと説明しながら、所持金が13万円余りで、クレジットカードやカタログも所持していなかったことを指摘。

「所持品には覚醒剤密輸以外の渡航目的をうかがわせるものがない」と判断した。

また、税関検査で覚醒剤が見つかった際に驚いた様子がなかったことは「明らかに不自然」で、「スーツケースに覚醒剤が隠されているかもしれないとの認識があったことは優に推認できる」と結論づけた。」


2月13日の最高裁判決は、「2審は1審と同じ立場で審理するのではなく、事後的な審査に徹するべきで、1審判決が不合理な場合にだけ破棄できる」と判示していますので、本件では、1審判決が明らかに不合理だと判断したことになります。

確かに、自動車やパソコンを購入するために来日したのであれば、カタログはともかく、所持金が13万円余りで、クレジットカードも持っていないのはおかしな話です。

この手の運び屋は、中身を知らされず、中身を確認しないのが掟だとか。

覚せい剤の密輸は、勿論、故意犯ですが、殺人罪が、殺そうと思った場合(確定的故意)だけでなく、死んでも構わないと思った場合(未必の故意)にも成立するように、「覚せい剤が入っているかも知れない」との認識があれば有罪という結論は、おかしな話ではありません。

そして、「知らなかった」と言われてしまえば、無罪となってしまうのも困りものなので、様々な間接事実から、未必の故意を推認することも、必要なことだと思います。

札幌弁護士会所属弁護士森越壮史郎法律事務所ホームページ
posted by 森越 壮史郎 at 12:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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