2017年07月11日

医師の残業代「年俸に含まず」=請求棄却の一、二審破棄−最高裁


以下は、時事ドットコム(2017年07月07日)からの引用です。

「医師が勤務先の病院と結んだ雇用契約をめぐり、年俸1700万円の中に残業代が含まれていたかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は7日、「残業代は含まれていない」と判断した上で、医師の請求を棄却した二審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した。
訴えていたのは、神奈川県内の医療法人を解雇された男性外科医。

雇用契約に基づき、午後9時以降の「必要不可欠な業務」には残業代が支払われたが、医師は午後9時までの残業分も支払うよう求めていた。

第2小法廷は、年俸1700万円の中に残業代を含むことで双方が合意していたが、残業代に相当する金額の内訳は不明確だったと指摘。

「残業代をあらかじめ賃金に含めて支払う場合には、通常賃金との区別が必要」とした判例に基づき、「残業代が支払われたとは言えない」と結論付けた。

一審東京地裁は、職務内容や賃金額などから合意は有効だとし、「残業代は含まれていた」と判断。

二審東京高裁もこれを支持していた。 

病院側の代理人弁護士の話 従来の判断枠組みを単純に適用した。現実を無視した形式的判断だ。

医師側の代理人弁護士の話 医師の労働環境適正化についての議論が進み、過重労働改善の契機になることを期待している。」





早速、裁判所のホームページに掲載されています↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86897

確かに形式的と言えば形式的ですが、「本件時間外規程に基づき支払われるもの以外の時間外労働等に対する割増賃金を年俸1700万円に含める旨の本件合意がされていたものの、このうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分は明らかにされていなかったというのである。そうすると、本件合意によっては、上告人に支払われた賃金のうち時間外労働等に対する割増賃金として支払われた金額を確定することすらできないのであり、上告人に支払われた年俸について、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することはできない。したがって、被上告人の上告人に対する年俸の支払により、上告人の時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金が支払われたということはできない。」とのことですので、形式的には、基本給の金額と残業代の金額を明らかにしておけば良い、そして、基本給を低く設定して残業代がオーバーしないようにしておけば良いということで、過重労働改善の契機になることは余り期待できないようにも思います。

長くなるので引用はしませんが、勤務医の半数以上が過労死の危険を感じたことがあるという報道もありますし、医師の自殺の原因が過労によるものだとして労災認定されたという報道もあります。

医師は患者の命を預かる大切な専門家ですが、単なる人間でスーパーマンではありません。

医療ミスが起きないようにするためにも、本当の意味での過重労働の改善が必要ではないかと思います。

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posted by 森越 壮史郎 at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする