2017年03月29日

車上荒らし「なりすまし捜査」で無罪判決 鹿児島地裁


以下は、朝日新聞デジタル(2017年3月24日)からの引用です。

「車内から発泡酒を盗んだとして窃盗罪に問われた鹿児島県伊佐市の男性(51)に、鹿児島地裁加治木支部は24日、無罪(求刑懲役1年6カ月)を言い渡した。

車は、車上荒らしを捜査中の警察官が止めたもので、小畑和彦裁判官は「被告に車上狙いを実行させる目的と推認され、国家が犯罪を誘発した」と指摘した。

判決によると、男性は昨年9月6日早朝、伊佐市のスーパー敷地内に伊佐署の男性警部補が止めた軽トラックの助手席から、発泡酒1ケースを持ち出したところを、張り込み中の捜査員に現行犯逮捕された。

車は無施錠だった。

男性は発泡酒を盗んだことを認めたが、弁護側は「犯行を働きかけた違法なおとり捜査だ」と無罪を主張。

検察側は、車は警部補が捜査のため知人に借りたもので「発泡酒は知人へのお礼に用意した」などと反論していた。

判決は、警部補らが車を無施錠で止め、助手席に発泡酒や食パンを置いていた点について「被告を検挙する目的で、車上狙いの実行に出るのを待ち設けていたと推認できる」と指摘。

男性の行動確認をしていた警部補らが、通常の捜査で犯行現場を押さえることは可能だったとして「本件のような捜査手法を行う必要性はほとんどなかった」と批判。

「任意捜査として許容される範囲を逸脱し、違法」と結論づけた。

犯罪の実行を働きかけた「違法なおとり捜査」との弁護側の主張については、警察官による働きかけがなかったので、おとり捜査ではなく、被害に遭いやすい状況を作った「なりすまし捜査」との判断を示した。」




おとり捜査に関する最高裁平成16年7月12日決定は↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50063

古くは、 昭和28年3月5日決定↓、 昭和29年11月5日判決↓↓などが、ありますね。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54702
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56819

検察庁は、控訴するのでしょうか。

そう言えば、オレオレ詐欺のだまされた振り作戦は、全く問題ないのでしょうか↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/442099108.html

このブログの筆者のホームページはこちら
posted by 森越 壮史郎 at 12:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月28日

匿名第三者の卵子で初の出産 神戸のNPOが仲介


以下は、朝日新聞デジタル(2017年3月22日)からの引用です。

「自分の卵子で妊娠できない女性に、匿名の第三者からの無償での卵子提供を仲介するNPO法人「OD―NET」(神戸市)は22日、提供卵子を使った体外受精で女児1人が国内で初めて誕生したと発表した。卵子提供で生まれた子どもの法的な位置付けは明確ではなく、関係者は法整備の必要性を訴える。子どもの「出自を知る権利」の確保も課題となる。

出産したのは、若いころに月経がなくなる「早発閉経」の40代の女性。2015年に提携する医療機関で提供者から23個の卵子を採取し、夫の精子と体外受精させ、成長した11個を凍結。提供者に感染症などがないことを確認した上で、妻の子宮に1個を移植した。1度目は流産したが、2度目の16年4月に妊娠し、今年1月に女児を出産した。母子ともに健康だという。

NPOでは、35歳未満で、子どもがいることなどを条件に提供者を募集しており、居住地や年齢、血液型などを考慮して夫婦との組み合わせを決めた。互いの情報は知らないという。体外受精の費用は夫婦側の負担で、計100万円ほどかかった。

子どもには、3〜5歳ごろから卵子提供の事実を伝え、15歳以上で本人が希望すれば、提供者の氏名や連絡先などの情報が医療機関から渡されることに夫婦は同意したという。提供者との面会を希望した場合には提携する医療機関で調整する。こうした条件には提供者も同意しているが、強制力はなく、最終的には当事者の判断に委ねられる。

NPOによると、他にも提供卵子を使った受精卵で2人が妊娠中のほか、1人が流産した。他にも3組の組み合わせが成立しており、順次カウンセリングや体外受精を進める予定という。

現行の民法では「生みの親」が母親とみなされるが、卵子提供による子どもの誕生は想定していない。厚生労働省の有識者会議は03年、匿名の第三者からの無償での卵子提供を認める報告書をまとめたが、法整備は進んでいない。自民党の合同部会は16年、卵子提供を受けた場合でも「産んだ人が母」とする法案を了承したが、提出の見通しは立っていない。

日本産科婦人科学会は指針で体外受精は事実婚を含む夫婦に限っており、第三者からの卵子提供について「国の法整備を待つべきだ」との方針を示している。日産婦の苛原稔・倫理委員長は「現実に卵子提供で子どもが生まれている。現場に混乱がないように法整備を急いで欲しい」と話した。

NPOの岸本佐智子理事長も「生まれてくる子どもたちの生活や福祉が守られるためにも法制化が必要。悩んでいる夫婦の声に耳を傾けて欲しい」と訴えた。

国内の一部の施設では、姉妹間などでの卵子提供が実施される一方、海外で卵子提供を受ける人もいる。

生殖医療に詳しい日比野由利・金沢大助教(社会学)は「英国では卵子提供者の情報を公的機関が管理するなど、子どもの『出自を知る権利』に配慮がなされている。日本の現状では、親が子どもに提供の事実を伝えなければ、子どもは知ることさえできない。卵子提供を受ける親は、生まれてくる子どもを独立した人格と認め、提供を受けたことを子どもにきちんと伝えることが望ましい」と話す。」




3年以上前の2013年10月の時点で、既に、こんな議論があったのですが…↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/377764620.html

このブログの筆者のホームページはこちら
posted by 森越 壮史郎 at 17:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月27日

地方公務員の遺族年金「性差は合憲」 最高裁が初判断


以下は、朝日新聞デジタル(2017/3/21)からの引用です。

「地方公務員災害補償法の規定で、遺族が妻の場合は遺族補償年金を年齢制限なく受け取れるのに、夫の受給資格については「55歳以上」とされていることが憲法違反かどうかが争われた訴訟の判決で、最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)は21日、この規定を「合憲」とする初の判断を示した。

第三小法廷は、堺市の男性が規定は憲法の「法の下の平等」に反するとして、「地方公務員災害補償基金」(東京都千代田区)に対し、不支給決定の取り消しを求めた上告を棄却。

男性の敗訴が確定した。

男性は1998年、市立中学校教諭だった妻を労災で亡くし、遺族補償年金を請求したが、男性が当時51歳だったために不支給とされた。

第三小法廷は、遺族補償年金制度について、憲法25条が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を実現するための社会保障の性格を持つとした上で、「男女の賃金格差や雇用形態の違いなどから妻の置かれた社会的状況を考えると、夫側にのみ年齢制限を設ける規定は合理的」とした。

2013年の大阪地裁判決は、規定は「性差別で違憲」と判断。

だが、15年の大阪高裁判決は「配偶者の死亡時に生計を維持できない可能性は、妻の方が高い」として合憲だと判断していた。

■男女で格差がある主な制度

●労働災害の遺族補償年金

民間の労災保険、地方公務員、国家公務員の労災で、夫は妻の死亡時55歳以上でないと受給資格がない。

妻は年齢制限なし。

●遺族厚生年金

夫は妻の死亡時に55歳以上でないと受給資格がない。

妻は年齢制限なし。

●寡婦(寡夫)控除

死別や離婚で一人親になった時に受けられる所得控除で、父子家庭は所得500万円以下なら控除額27万円。

母子家庭は500万円以下なら控除額35万円、500万円超なら27万円。

■原告男性「男女格差解消の流れに水を差す判決」

「非常に残念。長い目でみれば必ず解消される制度だろうが、男女格差解消の流れに水を差す判決だ」。

東京都内で会見した原告の男性は、無念さをにじませた。

代理人を務めた松丸正弁護士も「最高裁が性差別を追認してしまった。残念だが、今後は立法府に考えて欲しい」と話した。」




早速、裁判所のホームページに掲載されています↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86612

他の制度は調べていませんが、地方公務員災害補償法では、その後の法改正により、55歳以上から、60歳以上からに、更に制限されているようです↓
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S42/S42HO121.html

32条1項ただし書の「妻以外の者にあっては、職員の死亡の当時次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。」という定め方からすると、死亡時に年齢制限に達していなければ、一生涯、遺族補償年金は受給できないのだと思いますが、合理的な理由を欠くものということはできないのだそうです。

自由権の制限の問題ではなく、社会権の問題だからなのですかね。

このブログの筆者のホームページはこちら
posted by 森越 壮史郎 at 17:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする