2016年02月29日

運転中に意識消失、女性に無罪=特発性過眠症で予見できず−交通死亡事故・福岡地裁


以下は、時事ドットコム(2016/02/26)からの引用です。

「運転中に意識を失い交通死亡事故を起こしたとして、過失運転致死罪に問われた女性(22)の判決で、福岡地裁の潮海二郎裁判官は26日、女性が特発性過眠症を患っていたことを指摘し、「運転中に意識消失状態に陥ることを予見することは困難だった」と述べ、無罪(求刑禁錮2年)を言い渡した。

判決によると、女性は2014年7月、福岡県春日市内で普通自動車を運転中に意識を失い、歩道を歩いていた男性=当時(70)=をはね死亡させた。

検察側は、女性が事故前にストレスなどで特発性過眠症に罹患(りかん)し、立ちくらみなどを経験していたことから、運転すれば意識消失状態になることが予見できたと主張していた。

潮見裁判官は判決で、「女性が特発性過眠症と診断されたのは事故後」と指摘。

同症は自覚症状が乏しく、「診断前に病気に罹患していると認識することは困難」などと判断し、予見可能性を否定した。」




このように、刑事事件で過失が否定されてしまうと、民事上の損害賠償責任も否定されてしまうのではないかと思うかも知れませんが、そうではありません。

刑事事件と民事事件とで、過失の有無に関する判断が異なるというケースもありますが、本件のようなケースでは、民事上も予見可能性が否定されたとしても、損害賠償責任は認められます。

裁判所のホームページの裁判例情報には掲載されていないようですが、大阪地裁平成17年2月14日判決、東京地裁平成25年3月7日判決、釧路地裁平成26年3月17日判決は、いずれも、自賠法3条については、民法713条は適用されないものと判断しています。

自賠法3条「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明したときは、この限りでない。

民法713条「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。」

自賠法3条があるから、免責にはならないのではないかと思って、調べてみただけの話ですが。

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2016年02月26日

ミスの教諭ら438万円弁済 千葉、学校プール水流失で


以下は、千葉日報オンライン(2016年02月23日)からの引用です。

「千葉市中央区の市立小学校が昨年夏、プールの給水口の栓を閉め忘れ、水を大量に流失させるミスを起こした問題で、市教委は22日、県水道局から請求された水道料金約438万円を該当校の男性校長、男性教頭、ミスをした20代の男性教諭の3人が弁済したと発表した。

市教委保健体育課によると、市教委は弁護士と相談したり、他の自治体で発生した同種のケースへの対応などを調べたりして弁済方法を検討していたが、3人が自費で弁済したいと昨年12月に市教委に申し出たため、意向を尊重したという。

負担割合は3分の1ずつで、今月19日に弁済が完了。市教委は3人を厳重注意とした。

該当校では、男性教諭が昨年7月、プールの水を浄化するために給水口の栓を開けたまま閉め忘れ、同21日〜8月7日の18日間にわたって水を流失させた。

学校名を公表しない理由について市教委は「児童や保護者に直接関係する問題ではないため」と説明している。」




確かに、そんな事件の報道があったと思ったら、以下は、同じく千葉日報オンライン(2015年10月28日)からの引用です。

プールの水 大量流失 千葉市の小学校、水道料金請求440万円 栓閉め忘れ、18日間出しっ放し

「千葉市中央区の市立小学校が7月21日〜8月7日の18日間、プールの給水口の栓を閉め忘れ、水を大量に流失させるミスを起こしていたことが分かった。

市教委が28日発表した。

ミスに伴い県水道局から請求された水道料金は約438万円(約9200立方メートル)に上り、市教委は料金の弁済方法や関係者の処分を検討している。

市教委によると、体育主任を務める20代の男性教諭が7月19日、2日後に始まる水泳教室に備えてプールの状況を確認した際、水を浄化するための循環器が故障していた。

そこで、新しい水を注ぎ、排水口に流すことで水を浄化しようと、給水口の栓を開いた。

ところが、21日朝に業者が循環器の修理を完了後、教諭は閉めるべき給水口の栓を閉め忘れてしまった。

8月7日に他の職員が水道使用料の点検をした際、大量の水の使用が発覚。

給水口が開いていることに気づき、栓を閉めた。

市は市立小中学校のプールで使用する水について、1校当たり年間12杯分の料金の免除を受ける協定を県と結んでおり、該当校の年間免除分は約4千立方メートル。

しかし、このミスの結果、使用量は約1万3200立方メートルにまで膨れあがった。

「通常は免除分を超えて使用することはない」(市教委保健体育課)という。

市教委は教諭の注意不足に加え、給水口がプール満水時に水面下に潜る形状だったため、注水音が聞こえなくなることなどが原因と説明。

該当校では給水口の先を切断して水面下に潜らない形状に変える修繕を施し、同様の給水口のある学校も来年度に修繕することにした。

また、今後はプール使用ごとに開・閉栓状態を記録したり、開・閉栓を複数の職員で行うなどの再発防止策を講じるという。

市教委は校名を非公表とする理由について「現時点で責任の所在や処分が決まっておらず、児童や保護者にも直接被害が出ていないため」としている。」




国家賠償法1条1項は、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」と定めています。

そして、国家賠償法1条2項は、「前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。」と定めています。

3人が自費で弁済したいと市教委に申し出たため、意向を尊重したとのことですが、校長や教頭は勿論、このような状況でミスをした男性教諭に、重大な過失があったと言えるのでしょうか。

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2016年02月25日

イヤホンして自転車死亡事故、大学生に有罪判決


以下は、中日新聞(2016年2月23日)からの引用です。

「千葉市の路上で昨年6月、イヤホンで音楽を聴きながら自転車を運転中、歩行者の女性=当時(77)=をはねて死なせたとして、重過失致死罪に問われた大学2年の男子学生(20)に、千葉地裁(岩田真吾裁判官)が23日、禁錮2年6月、執行猶予3年(求刑禁錮2年6月)の有罪判決を言い渡した。

岩田裁判官は判決理由で「高速度で進行し、被害者に気付くのが遅れるなど過失の程度は大きい」と指摘した上で、「真摯な反省の態度を示し示談成立に見込みもある」と述べた。

判決によると、千葉市稲毛区の路上をイヤホンで音楽を聴きながら時速約25キロで運転、横断歩道の女性をはね、死亡させた。(共同)」




イヤホンで音楽を聴きながら自転車を運転していたのは事実なのでしょうが、それが重過失致死罪で有罪となった理由なのでしょうか。

少なくとも、上記報道の判決理由には、そのようなことは、一切、書かれていませんが。

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