2017年03月27日

地方公務員の遺族年金「性差は合憲」 最高裁が初判断


以下は、朝日新聞デジタル(2017/3/21)からの引用です。

「地方公務員災害補償法の規定で、遺族が妻の場合は遺族補償年金を年齢制限なく受け取れるのに、夫の受給資格については「55歳以上」とされていることが憲法違反かどうかが争われた訴訟の判決で、最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)は21日、この規定を「合憲」とする初の判断を示した。

第三小法廷は、堺市の男性が規定は憲法の「法の下の平等」に反するとして、「地方公務員災害補償基金」(東京都千代田区)に対し、不支給決定の取り消しを求めた上告を棄却。

男性の敗訴が確定した。

男性は1998年、市立中学校教諭だった妻を労災で亡くし、遺族補償年金を請求したが、男性が当時51歳だったために不支給とされた。

第三小法廷は、遺族補償年金制度について、憲法25条が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を実現するための社会保障の性格を持つとした上で、「男女の賃金格差や雇用形態の違いなどから妻の置かれた社会的状況を考えると、夫側にのみ年齢制限を設ける規定は合理的」とした。

2013年の大阪地裁判決は、規定は「性差別で違憲」と判断。

だが、15年の大阪高裁判決は「配偶者の死亡時に生計を維持できない可能性は、妻の方が高い」として合憲だと判断していた。

■男女で格差がある主な制度

●労働災害の遺族補償年金

民間の労災保険、地方公務員、国家公務員の労災で、夫は妻の死亡時55歳以上でないと受給資格がない。

妻は年齢制限なし。

●遺族厚生年金

夫は妻の死亡時に55歳以上でないと受給資格がない。

妻は年齢制限なし。

●寡婦(寡夫)控除

死別や離婚で一人親になった時に受けられる所得控除で、父子家庭は所得500万円以下なら控除額27万円。

母子家庭は500万円以下なら控除額35万円、500万円超なら27万円。

■原告男性「男女格差解消の流れに水を差す判決」

「非常に残念。長い目でみれば必ず解消される制度だろうが、男女格差解消の流れに水を差す判決だ」。

東京都内で会見した原告の男性は、無念さをにじませた。

代理人を務めた松丸正弁護士も「最高裁が性差別を追認してしまった。残念だが、今後は立法府に考えて欲しい」と話した。」




早速、裁判所のホームページに掲載されています↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86612

他の制度は調べていませんが、地方公務員災害補償法では、その後の法改正により、55歳以上から、60歳以上からに、更に制限されているようです↓
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S42/S42HO121.html

32条1項ただし書の「妻以外の者にあっては、職員の死亡の当時次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。」という定め方からすると、死亡時に年齢制限に達していなければ、一生涯、遺族補償年金は受給できないのだと思いますが、合理的な理由を欠くものということはできないのだそうです。

自由権の制限の問題ではなく、社会権の問題だからなのですかね。

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2017年03月24日

令状のないGPS捜査「違法」 最高裁が初めての判断


以下は、朝日新聞デジタル(2017年3月15日)からの引用です。

「裁判所の令状なく捜査対象者の車などにGPS(全地球測位システム)端末を取り付ける捜査について、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は15日、「令状が必要な『強制捜査』にあたり、捜査は違法だった」との初めての判断を示した。判決は「立法で対処することが望ましい」とも言及した。

GPS捜査について、警察庁は2006年6月に各都道府県警に通達したマニュアルで、令状なしでも実施できる任意捜査と位置づけ、捜査書類に残さないよう指示していた。昨秋からは令状を得て実施するよう事実上方針転換しているが、各地で争われた裁判で、令状が必要だったかについては判断が分かれていた。

今回判決が言い渡されたのは、車を使った侵入盗などを繰り返したとして窃盗罪などに問われた男性被告(45)の上告審。大阪府警が令状を取らずに被告らの車やバイクにGPS端末を装着して捜査した。一審・大阪地裁は「令状なく実施したのは違法」と証拠の一部を排除しつつ、他の証拠で懲役5年6カ月の有罪に。二審・大阪高裁は令状が必要だったか明確に判断しなかった。

■新技術活用の根拠、立法促す

GPS捜査は、違法な高速走行などで尾行逃れを繰り返す相手への対策として、有効性が高かった。犯罪捜査には一定のプライバシー侵害がつきもので、全く許されないわけではない。新しい技術を使って捜査機関が情報を得ることは、自白重視から客観証拠重視へと変わりつつある刑事裁判の流れにもかなう。

それでも最高裁大法廷は、位置情報を網羅的に把握できるGPS技術の特性を重視。法律に根拠がなければ侵害できない「私的領域」を従前より広くとらえる踏み込んだ憲法解釈を示して立法を促し、捜査機関の乱用に警鐘を鳴らした。

GPSに限らず、メールや防犯カメラ映像など、技術の進歩で個人が様々なデータを残すことは避けられない。憲法で保障された人権を守りつつ、捜査機関は明文化されたルールのもとで情報を扱うことが求められる。

■判決のポイント

・GPS捜査は、個人の行動を継続的、網羅的に把握するもので、プライバシーを侵害する。公権力による私的領域への侵入というべきだ

・私的領域への侵入は、憲法35条が保障する「令状なしに家宅捜索や所持品の押収をされない権利」を侵害する。GPS捜査は、令状が必要な強制捜査といえる

・車両や罪名を特定しただけでは、容疑と関係ない行き過ぎた行動把握を抑制できない。令状を出すには疑義があり、GPS捜査の特質に合わせた立法が望ましい

■岡部喜代子(学者出身)、大谷剛彦(裁判官出身)、池上政幸(検察官出身)の3裁判官による補足意見

GPS捜査の法律ができるまでには一定の時間がかかるが、その間GPS捜査が全く否定されるべきではない。ただ、認めるとしてもごく限られた極めて重大な犯罪捜査で、どうしても必要な場合となる。裁判官がGPS捜査を認める令状を出すのは特別な事情がある場合に限られ、極めて慎重な判断が求められる。

〈GPS捜査と令状〉

警察が民間から借りたGPS端末を捜査対象者らの車などに無断で設置し、行動確認に用いる捜査。警察庁は各都道府県警向けのマニュアルで端末利用を外部に明かさないよう指示。逮捕や家宅捜索などのように事前に裁判所に証拠を示して令状を取得したうえで実施する「強制捜査」ではなく、警察が独自にできる「任意捜査」と位置づけていた。

対象者が端末を発見するなどして相次いで発覚。「プライバシー侵害の違法捜査だ」として問題となった。警察庁は昨年9月から事前に令状を取得する運用に事実上切り替えた。」




早速、裁判所のホームページに掲載されています↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86600

結論的には、単なる上告棄却の判決なのですが、勝手に任意捜査と位置付けて、長年秘密裏にGPS操作を行ってきた捜査機関だけでなく、最近の令状請求に対して安易に検証令状を発布している裁判官をも、痛烈に批判しています。

補足意見も含めると、令状なしの任意捜査なんてとんでもない、現行法上の検証とは異なるので国会は立法的措置を講ずるべし、それまでの間は検証令状で仕方ないけど、裁判官はこの判決を良く読んで慎重に発布するように、というところでしょうか。

今後は、令状なしのGPS捜査により犯行が発覚した場合には、GPSの記録だけでなく、その余の証拠も含めて、全て違法収集証拠として排斥され、無罪ということになるのでしょうか↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/254493707.html

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2017年03月23日

「責任感持ち、誠実に」 最高裁判事に就任した戸倉三郎氏


以下は、産経ニュース(2017.3.14)からの引用です。

「前東京高裁長官の戸倉三郎氏(62)が14日、最高裁判事に就任し、「責任感を強く持ち、誠実に事件に向き合っていきたい」と抱負を語った。

平成16年、裁判員制度の広報活動や環境整備などを担う審議官に就任。

「国民に参加してもらわなければ刑事裁判ができない」との危機感の下、裁判員が休暇制度を活用できるよう、経済団体などに掛け合った。

当時は休暇どころか「どうすれば辞退できるのか」という質問が寄せられることも。

説明会などで粘り強く理解を求める一方、「一緒に審理をする裁判官の姿を国民に知ってもらおう」と、模擬裁判なども多数企画した。

裁判員制度は今年5月で施行8年。

「非常に順調に運用されている」としつつも、「地道な広報活動を続けていくことが大事」と話す。

司法行政の経験が長く、「知識が豊富で、状況把握能力に優れている」(裁判所関係者)など、行政手腕には定評がある。

鉄道好きで、さいたま地裁所長時代には、鉄道博物館(さいたま市)の年間パスポートを購入。

お気に入りの車両に座ってしばし休むのがリフレッシュ方法だ。」




私が司法修習生だった時の司法研修所の刑裁教官でした。

最高裁判事、就任おめでとうございます。

鉄道ファンだったとは、全く知りませんでした。

講義内容も、全く記憶にありませんが。

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